口臭予防の方法としては、ブラッシングを丁寧に行うことや、水分の摂取量を増やすこと、喫煙を控えることなどが挙げられます。
また、その他の予防法としては、舌苔を取り除く舌磨きが有効です。
ここからは、舌磨きの口臭予防効果や正しい方法、注意点などについて解説したいと思います。
舌磨きの口臭予防効果
口の中には多くの細菌が存在し、これらが食べカスや剥がれた粘膜に含まれるタンパク質を分解し、口臭をつくります。
そのため、舌磨きによって、口臭の元になる舌苔(白い苔のようなもの)を取り除くことにより、口臭は発生しにくくなります。
細菌のかたまりである舌苔の付着量は、朝がもっとも多いと言われていて、舌苔が口臭の原因であるということは、寝起きの口臭がきつくなることからも明らかです。
しかし、ある調査では、口臭が気になる方であっても、その6割程度しか舌磨きをしていないという結果が出ていて、このことから、歯磨きよりもあまり意識されていないことがわかります。
舌磨きで得られるその他のメリット
舌磨きをすることにより、ブラッシングの効果をアップさせることにもつながります。
舌苔がついたままの状態でブラッシングをすると、舌の細菌が歯の表面に付着してしまい、効果が半減します。
一方、ブラッシングをする前に舌をキレイにすることにより、口内全体を清潔に保つことができます。
また舌の表面には味蕾という食べ物の味を感じる器官がありますが、舌磨きをすると舌苔が取り除かれるため、味をしっかり感じられるようになります。
さらに、舌磨きは誤嚥性肺炎のリスクも軽減できます。
舌苔の中で増殖した細菌が気管から肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがありますが、舌磨きをすれば細菌が減少するため発症を抑えられます。
舌磨きの正しい方法
舌磨きの具体的な手順は以下の通りです。
1.舌苔のつき方を確認する
2.舌を磨く
3.舌ブラシの汚れを落とす
4.2と3を3~5回繰り返す
5.口をゆすぐ
舌磨きを行う前に、どこに舌苔が多く付着しているのかを確認します。
また、舌磨きには舌専用のブラシを使用しますが、こちらは汚れが付いたらその都度水で洗い流し、常にキレイな状態にして何度か磨きます。
ちなみに、最後口をゆすぐときには、水だけでなくマウスウォッシュを併用すると効果的です。
舌磨きを行う場合の注意点
舌磨きの際は、歯磨き粉を使用せず、水に濡らしただけの状態の舌ブラシで行います。
歯磨き粉の中には、研磨剤や発泡剤が含まれているものも多く、こちらはやわらかい舌の表面を傷付けるおそれがあり、こちらは味覚障害のリスクを高めます。
また、強い力で磨くのもNGです。
こちらは、歯磨き粉と同じように舌を傷付けるだけでなく、糸状乳頭が刺激されて増殖し、逆に汚れが溜まりやすい舌になることにもつながります。
ちなみに、舌磨きに使用する舌ブラシは、歯ブラシと同じように1~2ヶ月に1回程度は交換しなければいけません。
舌磨きの回数やタイミング
舌磨きを行う回数は、基本的に1日1回です。
1日に何度も磨いてしまうと、舌の粘膜を傷つけてしまうこともあるため、舌の汚れが気になるときに1回だけ行うようにしましょう。
また舌磨きのタイミングについては、朝がおすすめです。
朝は舌苔の付着量が多いため、舌苔を取り除くタイミングとしては最適です。
朝ブラッシングを行うとき、あわせて行うと効率的に口内環境を清潔にできます。
もちろん、朝舌磨きを行う時間がないという方は、就寝前でも構いません。
嘔吐反射がある方の磨き方
嘔吐反射は、口内に異物が入ったとき、反射的に吐き出そうとすることで発生する現象です。
舌磨きでは嘔吐反射が起こりやすく、ブラシを口の奥に入れると嘔吐反射が起こってえずいてしまうことがあります。
またこのような状況が続くと、十分に舌苔を取り除くことができないため、磨き方を工夫しましょう。
具体的には、舌を思いっきり前に出した状態で、ゆっくりと舌ブラシを動かすのがポイントです。
舌が前に出ていれば、喉の奥にブラシが触れてしまうことなく磨ける可能性が高いです。
ただし舌を前に出している時間が長いと、付け根辺りを傷めてしまう可能性があるため、注意してください。
舌苔がつきやすくなる食べ物
舌苔がつきやすくなる食べ物ばかり摂取すると、舌磨きの効果が薄れてしまったり、つい強く磨いてしまったりすることにつながります。
そのため、このような食べ物はなるべく避けるのが無難です。
具体的には、コーヒーやアルコール、乳製品や肉類などが挙げられます。
コーヒーにはカフェインが多く含まれているため、口内の水分が奪われ、乾燥して舌苔がつきやすくなります。
またアルコールも同様に口内の水分を奪いやすく、細菌や舌苔の増殖を促進する効果があります。
さらに乳製品や肉類についても、過剰に摂取することで口内の細菌や舌苔が増えてしまうおそれがあります。
まとめ
ここまで、口臭予防の一環として行う舌磨きについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
歯磨きを毎日丁寧に行っているにもかかわらず、口臭が気になるという方は、舌磨きがおろそかになっている可能性が高いです。
また、舌苔の付着量が多いと、口臭だけでなく、味覚が低下するおそれもあるため、毎日正しい方法で実施することが大切です。
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