ポビドンヨードは、世界中で使用されている殺菌消毒剤の有効成分です。
手洗いやうがい、傷の消毒・殺菌に使用されるのですが、虫歯菌にも有効なのでしょうか?
今回は、ポビドンヨード製剤のうがい薬が虫歯予防にもなるのかについてお話します。
歯科クリニックの視点からうがい薬の特徴を見てみましょう。
ポピドンヨードとは?
ポピドンヨードは、世界中で感染対策に使用されている、代表的な殺菌消毒剤の有効成分です。
主に昆布やワカメなどに含まれるミネラルの一種であるヨードと、毒性を下げ水に溶けやすくするためのポリビニルピロリドンという成分からつくられています。
市販されている茶色のうがい薬や、手指を殺菌・消毒する医薬品の有効成分であり、さまざまな細菌やウイルスに対して殺菌効果を発揮することで知られています。
また、ポピドンヨード製剤は家庭だけでなく、学校や病院などさまざまな場所で採り入れられています。
ポビドンヨード製剤のうがい薬の虫歯予防への影響
結論から言うと、ポビドンヨード製剤のうがい薬を使用したことで虫歯予防にはなりません。
なぜなら、ポビドンヨード製剤はあくまでも口の中の粘膜に潜む細菌やウイルスしか殺菌できないからです。
確かに、虫歯菌も口の中にありますが、主に歯の表面で増殖し、症状を進行させます。
ですので、虫歯予防として使用するなら、虫歯菌への有効成分が含まれているマウスウォッシュを使用すべきです。
使い勝手がいいからとうがい薬を使用しても、実は虫歯予防になっていないのです。
ポビドンヨード製剤のうがい薬のデメリット~虫歯予防の視点から~
ポビドンヨード製剤のうがい薬が虫歯予防に向かない理由は、虫歯菌の殺菌にならないからだけではありません。
実は、ポビドンヨード製剤は酸性で、歯を溶かしてしまう恐れがあるのです。
用法・容量を守って使用するにしても、強い酸性のうがい薬を長期間使用する状況になると、歯へのダメージが大きくなってしまいます。
また、ポビドンヨード製剤は黄色に着色する性質もあるため、知らないうちに歯の着色が目立つようになってしまいます。
見た目の影響と酸蝕歯になってしまうリスクを考えると、虫歯予防のために積極的に使用するのは避けるべきです。
風邪などの予防時に使用するのが無難です。
ポピドンヨード製剤の使いすぎには注意
ポピドンヨード製剤を使いすぎると、前述のように歯を溶かしてしまったり、着色したりするリスクが上昇します。
また、口内の常在菌まで殺してしまうリスクが高まります。
口内には悪玉菌もいれば、善玉菌もいます。
これらの常在菌はバランスを取りながら生きていて、外部から侵入した雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。
しかし、ポピドンヨード製剤の使いすぎにより常在菌が死滅すると、後から悪い菌が侵入・増殖し、さまざまな病気のリスクが高まります。
ポビドンヨード製剤のうがい薬に頼らずに虫歯予防を
ポビドンヨード製剤のうがい薬は、コーラと同じくらいの強い酸性になります。
コーラが虫歯予防に向かない飲み物であることは、多くの患者様がすでに理解しているでしょう。
ここでやはり大切になるのは、歯磨きです。
歯磨きで汚れを取り除き、虫歯菌が増殖しない環境を整えることが、一番の予防法になります。
面倒くさがらずに、地道に予防をしていきましょう。
うがい薬は、ポビドンヨード製剤以外にも複数あります。
うがい薬を虫歯予防として使用できるかどうか不明な製品がある時は、歯科クリニックに相談してみましょう。
歯茎の腫れにはポピドンヨード製剤が効果的
急に歯茎が腫れてしまい、痛みが出た場合は、歯周病を発症している可能性があります。
しかし、仕事や子育てなどで忙しい方は、痛みがあってもすぐに歯科クリニックを訪れることができない場合もあるでしょう。
こういったケースで活躍するのが、ポピドンヨード製剤です。
ポピドンヨード製剤を使用することで、強い殺菌効果により、ある程度歯茎の炎症や痛みは軽減されます。
またポピドンヨード製剤と同じく、クロルヘキシジングルコン酸塩酸といううがい薬を使用するのも有効です。
ただしアルコール成分の強いうがい薬は痛みが強くなる場合があるため、使用するのを避けましょう。
ポピドンヨード製剤には乾燥や口臭を防ぐ効果もある
ポピドンヨード製剤は、そこまで虫歯予防に向いている製剤ではありませんが、乾燥や口臭を防ぐ効果は高いです。
口内が乾燥していると悪い菌やウイルスが繁殖しやすく、乾燥によって喉の防御機能が低下することがあります。
また口内乾燥は体調不良にもつながるため、ポピドンヨード製剤によるうがいで乾燥を予防するのは大切です。
さらに、ポピドンヨード製剤の使用で口内が潤うと、口臭を抑えることにもつながります。
口臭は歯周病菌や虫歯菌、プラークや食べカスなどによって引き起こされるものです。
ポピドンヨード製剤を使用すれば、ある程度歯周病菌や虫歯菌は排除できますし、口内の唾液量が増えるため、プラークや食べカスなども洗い流されやすくなります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・ポビドンヨード製剤のうがい薬は、虫歯予防に向かない
・酸性のポビドンヨード製剤は歯を溶かしてしまい、酸蝕歯のリスクを高める
・ポビドンヨード製剤は黄色に着色する性質もある
・ポビドンヨード製剤のうがい薬の使用より、日々の歯磨きが一番の予防になる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。