小児矯正は、子どもの将来を考えたときに、必要性の高い治療だと言えます。
噛み合わせの悪さは、見た目のコンプレックスや咀嚼、発音への悪影響につながります。
しかし、場合によっては、こちらの治療をおすすめできないこともあります。
今回は、小児矯正をしない方が良いケースを3つほど紹介したいと思います。
顎の成長を待った方が良い場合
小児矯正の特徴の一つに、子どもの顎の成長を利用できるという点がありますが、まずは現状のまま顎の成長を待った方が良い場合、小児矯正を見送ることをおすすめします。
受け口やしゃくれ、出っ歯といった骨格異常による不正咬合は、顎の成長をコントロールする第一期治療を行うことが多いですが、特に骨格異常がない場合は、経過を観察するだけで歯並びが整っていく可能性があります。
このようなケースでは、小児矯正を受けることで、逆に歯列が広がりすぎて噛み合わせが悪化することも考えられます。
費用の支払いが難しい場合
小児矯正は、大人の矯正と同じく多額の費用がかかります。
第一期治療で必要になる金額はおよそ20~60万円ほどであり、こちらは2~3年かけて支払います。
そのため、子どもの歯の状態にもよりますが、親御さんには最大毎年20万円ほどの支払いが求められ、こちらは経済的な余裕がない家庭にとってはとても難しい場合があります。
また、歯科クリニックによっては、歯科治療専用のデンタルローンを利用できるところもありますが、返済のアテがなければこちらも利用できません。
ちなみに、デンタルローンの金利は年5.0%前後と、一般の個人向き融資サービスに比べると高めです。
子どもが小児矯正に消極的な場合
子ども本人が小児矯正に消極的である場合、そのままの状態で無理やり治療を受けさせるのは避けるべきです。
なぜなら、子ども自身が治療に前向きでなければ、ストレスが溜まりやすくなりますし、そもそも治療に協力的ではなくなってしまうからです。
また、このような状態で治療を受けさせても、思うような効果が得られず、費用と時間が無駄になってしまうリスクがあります。
そのため、事前にコミュニケーションを図り、子どもの気持ちを理解した上で、治療をするかどうか判断しましょう。
小児矯正の効果が期待できない場合
冒頭でも触れたように、小児矯正では顎の成長を利用して歯を動かすことが可能です。
しかし、このような効果がほとんど期待できない場合、小児矯正だけを行ってもあまり意味がないと言えます。
具体的には、顎の成長が終わったと判断できる場合、小児矯正ならではのメリットを享受できません。
つまり、ある程度顎の成長を待った方が良いものの、待ちすぎてもダメだということです。
また歯並びの悪化が骨格的な問題に由来する場合も、小児矯正だけで歯並びを整えるのは困難になります。
例えば出っ歯や受け口などの不正咬合は、親御さんからの遺伝などにより、骨格が突出していることが原因の場合もあります。
このような不正咬合については、ヘッドギアなど別の治療法を用いることが考えられます。
虫歯や歯周病がある場合
子どもの口内に虫歯や歯周病の症状が見られる場合、そのまま小児矯正を開始することは基本的にはできません。
虫歯は小児矯正中の痛みを増幅させますし、歯周病は歯の安定感を失わせ、うまく移動させられない原因になります。
どうしても小児矯正を受けさせたい、子どもが小児矯正を望んでいるというのであれば、先に虫歯や歯周病を治療しなければいけません。
虫歯治療では、一般的には虫歯になった部分を削り、詰め物や被せ物を装着します。
ただし重度の虫歯の場合、根管治療というより大がかりな治療を受けなければいけない場合もあります。
歯周病治療については、プラークや歯石を除去する歯周基本治療のほか、外科治療を伴うことも考えられます。
親御さんが十分にサポートできない場合
小児矯正では、矯正治療を行う子ども本人の頑張りが成果に直結します。
またスムーズに小児矯正を進めるには、親御さんのサポートも必要不可欠です。
そのため、サポートが難しい場合は治療を受けさせるべきではありません。
ここでいうサポートとは、治療の必要性やメリット・デメリットを子どもに説明したり、矯正装置の装着における管理や声掛けをしたりすることが該当します。
もちろん、口内ケアのサポートも必要ですが、普段忙しい親御さんはここまで徹底的に協力できないことが考えられます。
歯科医師との信頼関係が不十分な場合
小児矯正を受けるときは、歯科医師との継続的なやり取りが必要になります。
しかし治療計画や装置の選択理由、予測される変化などについて十分に説明がない場合、親子ともに不安を抱えたまま治療を進めることになります。
このように歯科医師との信頼関係が不十分な場合、そのまま小児矯正を進めないようにしましょう。
もし質問してもあいまいな回答が続いたり、話を聞いてもらえなかったりするのであれば、別の歯科医師に相談するセカンドオピニオンも視野に入れてください。
まとめ
ここまで、小児矯正をしない方が良いケースを3つほど紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
冒頭で触れたように、小児矯正はとても必要性の高い治療ですが、焦って受けない方が子どもにとっても、親御さんにとっても良いというケースがあります。
ただし、重度の不正咬合などが見られる場合は、なかなか避けては通れないため、受診が難しい場合は、一度歯科クリニックの医師に相談してみましょう。
患者様には、治療内容をアニメーション動画で分かりやすく説明し、納得頂ける治療をさせて頂きます。