インプラントの治療を受けることにより、食事の際にしっかりと噛めるようになったり、見た目が良くなったりといったメリットが生まれます。
しかし、場合によっては、治療後に身体の異常が出ることも考えられます。
今回は、インプラント後に起こり得る身体の異常とその対処法について解説します。
耳鳴り、頭痛
インプラントの治療を受けた後には、耳鳴りや頭痛の症状に悩まされることがあります。
こちらは、主に以下のようなことが原因で発生します。
・インプラントの位置が正しくない
・噛み合わせが悪くなっている
・顎関節症
・金属アレルギー
歯科クリニックの医師による治療であるため、位置が正しくないというケースは少ないですが、人工歯根を埋め込んだことによって噛み合わせが悪くなり、顎関節がずれて神経を圧迫することで、耳鳴りや頭痛につながることは可能性としてはあり得ます。
インプラントの治療中、大きく口を開けたことで顎関節症を引き起こしたり、稀ではありますが、インプラントで金属アレルギーを起こしていたりすることも、耳鳴りや頭痛につながる原因の1つです。
もし、インプラント治療後、このような身体の異常に悩まされているというのであれば、歯科クリニックでインプラントの高さを調整してもらったり、一度人工歯根を除去し、材質を変更してもらったりといった対処が必要になります。
口臭
口臭も、インプラントの治療後に起こり得る身体の異常です。
こちらの原因として考えられるのは、インプラント周囲の歯に汚れが付着していることや、インプラントと歯の間に隙間ができ、汚れが溜まっていることなどが挙げられます。
また、口臭がひどい場合は、インプラントの周囲の歯茎が歯周病菌によって炎症を起こし、歯周病と同じような症状が出るインプラント周囲炎にかかっていることも考えられます。
インプラント周囲炎は、口臭だけでなく、歯茎の腫れや出血、膿や脱落といったさまざまな問題を引き起こすため、決してそのままにしてはいけませんし、前もって対策を取らなければいけません。
口臭やインプラント周囲炎の主な対策としては、やはり毎日の歯磨き等、セルフケアを正しい方法で行うことです。
できる限り歯垢などの汚れを落とし、細菌の数を減らすことが大切です。
発熱
インプラント治療後に起こり得る身体の異変には、発熱も挙げられます。
こちらは治療に伴う細菌感染、ストレスなどが原因です。
インプラント治療は外科治療を伴うため、細菌感染のリスクを完全に排除することはできません。
当然治療時には無菌状態が保たれるよう、細心の注意が払われますが、それでも細菌に感染してしまう可能性はあります。
またインプラント治療を受けることによるストレスから、一時的な発熱が起こることがあります。
もし治療後に発熱があったのであれば、まずは安静にすることが大切です。
さらに水分補給も忘れずに行い、熱が長期間続く場合、37.5℃以上の高熱がある場合は早急に歯科医師に相談すべきです。
アザ
インプラント治療を受けた後、見覚えのないアザができることがあります。
こちらは主に口元にできるもので、原因は皮下出血です。
インプラント治療で骨を増やす治療を受けた場合、アザができる可能性が高まります。
また脳梗塞や心筋梗塞などの既往歴があり、血液をサラサラにする薬を服用している方も、同様に治療後のアザが見られやすいです。
口元のアザについては、基本的には治療後1~2週間ほどで少しずつ目立たなくなってきます。
痛みなどの症状もほとんどありませんが、目立たなくなるまで口元の見た目は少し悪くなります。
そのため、マスクなどで口元を隠して対処しましょう。
貧血
インプラント治療を受けた後は、貧血気味になることも考えられます。
こちらはインプラント治療に必要不可欠な外科治療により、ある程度出血が見られるからです。
歯科医師の腕が良い場合や、患者さんの体質によっては、ほとんど出血せずにインプラント治療を終えることもあります。
一方歯科医師が経験不足だったり、患者さんが普段から貧血気味だったりする場合、治療後に貧血の症状が出やすいです。
もしインプラント治療後、急に貧血の症状が出たのであれば、まずその場にしゃがむか横になることをおすすめします。
さらに身体を締め付けるものを緩め、酸素の消費を抑えつつ、症状が治まるまで安静にします。
しびれ
インプラント治療後、口の周りにしびれを感じることがあります。
このようなケースでは、治療時に神経を傷つけてしまっているおそれがあります。
血管と同じく、下顎には下歯槽神経という太い神経が通っています。
そのため、こちらが傷ついてしまうとしびれや麻痺などが生じ、回復まで長い期間を要することもあります。
場合によっては、後遺症としてそのまましびれが残ってしまうことも考えられます。
ただし、このような症状が出ることは極めて稀です。
厚生労働省が発表した資料によると、インプラント治療における下歯槽神経麻痺の発現率は、0.13~8.5%程度にとどまっています。
さらにこちらのパーセンテージには、一時的な麻痺も含まれていると考えられています。
まとめ
ここまで、インプラント後に起こり得る身体の異常について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
前述した身体の異常は、もちろんインプラント治療を受けたすべての方に見られるものではありません。
しかし、言い換えれば誰もが経験し得ることであるため、前もって原因や対処法、対策について理解しておくことは重要です。
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