近年販売されている歯磨き粉は、高性能で種類が豊富です。
とはいえ、馴染みのない成分名に不安を感じる患者様もいるでしょう。
そのような患者様の中には、自然派の歯磨きとして、塩歯磨きを実践している方がいるのです。
塩歯磨きには、一体どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
塩歯磨きのメリット・デメリット
歯磨き粉に含まれている虫歯予防に効果的な成分の代表格には、フッ素があります。
とはいえ、虫歯予防効果の高いフッ素であっても、適切な分量というものがあります。
これを勘違いして、日頃から成分濃度の高い製品を使用した方が良いと考えている患者様がいるのです。
塩歯磨きの場合は、フッ素や研磨剤を使用した歯磨きでないので、安全性の高い歯磨きをすることができます。
ですが、自然派である塩歯磨きにはデメリットがあります。
塩と言っても、粒の大きさや風味で様々な種類があります。
粒の大きい塩で歯磨きをしてしまうと、歯に傷をつけてしまう恐れがあるのです。
傷つくのを防ぐためには、塩を粒のままで磨くのでなく、口の中で溶かしてから磨くようにして下さい。
塩歯磨きは、塩の粒で磨くのでなく、塩の成分で磨いていきます。
塩の種類によっても得られる成分が違いますから、塩選びの参考として覚えておきましょう。
加えて、塩の味しかしませんから、香料等の爽快感が楽しめないというデメリットもあります。
この点は個人の好みになりますから、爽快感や香料も楽しみたい場合は歯磨き粉を使用しましょう。
塩歯磨きはデメリットばかりでない
塩歯磨きのデメリットで少し触れましたが、塩の種類によって歯磨きのしやすさや得られる成分が変わります。
例えば、塩にはミネラルが含まれていますが、全種類で同じ含有量ではありません。
種類によって、ミネラル含有量が異なるのです。
なぜミネラルについて触れたのかと言うと、ミネラルは口腔粘膜から吸収されるからです。
日常生活で意識したとしても、ミネラルは不足しやすいと言われています。
それを歯磨きでカバーできるならば、簡単に摂取できると思いませんか?
歯磨き粉で歯磨きをするというのは、常識だと思われがちです。
しかしながら、世の中には昔の知恵を活用したり、工夫したりしてケアしている方がいるのです。
それを行っても歯に違和感があったり、トラブルが生じたりした場合は、歯科クリニックの力を借りましょう。
おすすめは塩配合の歯磨き粉
塩を使った歯磨きには確かにメリットもありますが、それ以上にデメリットが多いことは否定できません。
塩を使用するのであれば、塩配合の歯磨き粉を使用することをおすすめします。
塩配合の歯磨き粉は、ドラッグストアなどでも販売されています。
塩による歯茎の引き締めなどのメリットに加え、他の薬用成分で虫歯や歯周病の予防、殺菌効果などを付与することができます。
塩単体で使用すると、前述の通り歯茎を傷付けて腫れや痛みが出たり、塩分の過剰摂取につながったりするおそれがあります。
その点、商品として販売されている塩配合の歯磨き粉は、安全性が保障されている商品だと言えます。
塩歯磨きで歯は白くなる?
塩歯磨きを行うことで、歯が白くなると考えている方は少なくないと思います。
結論から言うと、塩歯磨きで歯を白くすることはできません。
歯を根本的に白くするには、歯科クリニックでホワイトニングを受ける必要があります。
また塩歯磨きに漂白効果があると勘違いされている理由は、高い研磨作用によって歯の表面の着色汚れを除去できるからです。
表面の汚れが落ちれば、確かに歯は元々の白さまで戻ります。
しかし、こちらの効果はあくまで一時的であり、歯科クリニックのホワイトニングほどの効果は期待できません。
さらに、塩歯磨きで歯を白くしようとすると、必要以上に強く磨きやすくなります。
こうすることで歯茎が傷ついたり、歯に小さな溝が生まれ、逆に汚れや着色がつきやすくなったりすることも考えられます。
塩とレモンの組み合わせで歯は白くなるのか?
以前メディアで話題になった方法として、塩とレモンを組み合わせて歯を磨くと、歯が白くなるというものがあります。
こちらは間違った方法であるため、絶対にやってはいけません。
むしろ、塩とレモンはもっとも歯をボロボロにする組み合わせだと言えます。
エナメル質は酸で溶けるため、レモンを食べたり塗ったりすると、歯の表面は傷ついてしまいます。
また、そこに塩の粒子が入って削られると、一時的には白くなったように見えます。
しかし実際は歯の表面をザラザラに削っただけであり、強い力で塩歯磨きをしたときよりも、さらに表面の汚れや着色は付きやすくなってしまいます。
塩以外に歯磨き粉の代わりになるものはある?
塩以外に歯磨き粉の代わりとして使用されるものには、重曹が挙げられます。
重曹には口内を中和させる働きがあり、虫歯になるリスクを下げる効果が期待できます。
また、口臭の原因も口内が酸性に傾くことであるため、同じ原理で予防につながります。
しかし、重曹は極めて粒子が細かく、高い研磨作用があります。
そのため、塩と同じように歯を傷付けるリスクは高いです。
さらに濃度が濃かったり、使用回数が多かったりすると、口内がアルカリ性に傾きます。
アルカリ性に傾くと歯石が形成されやすくなり、逆に虫歯や歯周病のリスクを高めます。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・塩歯磨きには、フッ素や研磨剤を使用せずにケアできるメリットがある
・塩歯磨きのデメリットは、塩の粒で歯を傷つけてしまうことと香料がないこと
・塩の種類によって、歯磨きのしやすさが変わる
・ミネラル含有量に注目すると、より体に良い歯磨きをすることができる
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。