口臭は、近距離でないと分からないと思われがちですが、周囲の人は認識していることがほとんどです。
意外と、良い匂いよりも悪い臭いの方が、広範囲にわたりやすいのです。
虫歯が原因で口臭が酷い場合、どのくらいの距離まで届いてしまうのでしょうか?
今、口臭が気になっている患者様は、是非ご覧下さい。
虫歯がない時の口臭が確認できる距離
虫歯による口臭の実態を確認する前に、通常状態の口臭はどこから確認できるかをご説明しましょう。
何も歯に問題を抱えていない場合に口臭が感じられる距離は、約30cm~50cmだと言われています。
この距離感に、ピンとこない方もいるはずです。
つまり話をするために近づいた時に、初めて口臭を確認できるのです。
そのため、1mくらい離れて会話をしているような時は、あまり臭いを感じることがないのです。
これは専門的な内容で言うと生理的な口臭に分類されますから、特別気にする必要はありません。
虫歯が原因の口臭が確認できる距離
他方で、虫歯が原因で口臭が発生している場合、臭いを確認できる距離は最大で2mだと言われています。
2mというと、結構な距離です。
健全な口臭は、最大でも1mに届きません。
生理的な口臭と比べると、1m近く差があることに驚いてしまうはずです。
また無風の場合は、1mくらいではっきりと臭いを確認することができてしまいます。
広範囲になってしまうと、周囲の人は離れていても独特の臭いを感知してしまいます。
そうなると、例え距離をおいて会話をしている時でも、臭いを敏感に感じ取ってしまうのです。
これでは、他者に迷惑をかけてしまいます。
口臭が酷いと自覚するタイミングは、早いに越したことがありません。
虫歯が口臭の原因になる理由
虫歯が口臭の原因になる理由としては、穴が空いた部分に食べ物が詰めることや、歯の神経が腐敗することなどが挙げられます。
虫歯が進行すると歯に穴が開くため、食事をするとその穴に食べ物の残りが詰まりやすくなります。
そこで菌が繁殖し、口臭の原因となる物質を発生させます。
特に糖質が豊富な食べ物は虫歯菌のエサとなるため、口臭を増幅させやすいです。
また虫歯が重度にまで進行すると歯の神経まで達し、神経が死滅することがあります。
こちらはいわゆる歯髄炎と呼ばれるもので、歯髄炎になると痛みを感じることが多くなり、症状が進行すると強い口臭につながります。
ちなみに、重度にまで進行した虫歯では、歯の根元にまでバクテリアが到達し、膿が溜まることがあります。
膿は極めて強いニオイを放ち、それが口臭となります。
さらに進行すると歯が抜ける原因ともなるため、早期治療が重要です。
その他の口内トラブルによる口臭について
虫歯以外でいうと、歯周病や詰め物・被せ物の問題なども口臭を引き起こします。
歯周病が重症化すると、歯と歯茎の間の歯周ポケットが深くなります。
そこに膿が溜まり、口臭を発します。
さらに詰め物や被せ物が隣の歯とうまく接触していないことにより、隙間が生じてしまい、食べカスが歯と歯の間に詰まって腐敗することも、口臭の原因です。
ちなみに歯周病によって歯茎が痩せ、食片が入り込んでいたり、歯周病が進行することで歯が動きやすくなり、歯と歯の間が開いて食べカスが挟まったりすることもあります。
これらもすべて口臭を発生させる原因です。
虫歯が原因の口臭は治療で改善できる
虫歯が原因で酷い口臭が発生していることを、病的口臭と言います。
病的口臭を改善するためには、原因となる虫歯を治療するしか方法がありません。
ですので、虫歯は放置せずに、早めに歯科クリニックで治療を受けるようにしましょう。
また、大人虫歯の関係で、原因が自覚できていない方も少なくありません。
見た目や感覚の変化が少ない場合は、食事が悪いのかと考えてしまいます。
とはいえ、病的口臭は食事関連の臭いではありませんから、おかしいと感じた時は虫歯を疑うようにして下さい。
周囲から口臭を指摘された時は治療のためにも、歯科クリニックを頼りましょう。
虫歯が原因の口臭に効果的なセルフケア
虫歯が原因の口臭は、患者さんが行うセルフケアでもある程度改善できます。
もちろん治療を受けることは大前提ですが、キシリトールガムの摂取やこまめな水分補給なども最低限行うべきです。
キシリトールは虫歯予防効果が証明された甘味料であり、唾液を分泌して口内環境を整えたり、歯の再石灰化を促したりする効果があります。
そのため、日頃からガムを噛んで摂取するのが望ましいです。
またこまめに水分を摂取することで、口内の乾燥を防ぎ、口臭も出にくくなる可能性があります。
歯周病対策も忘れずに
口臭を発している理由は虫歯だけでなく、歯周病の可能性もあります。
歯周病は、一般的にひどくなるほど口臭も強くなり、ブラッシングだけでは口臭の改善も難しくなります。
また歯周病がひどくなくても歯石が溜まっていると、ブラッシングをしても落ちないため、口臭が強くなりがちです。
そのため、定期的に歯科クリニックで歯石除去や歯のクリーニングを受け、キレイな息を保っていくのと同時に、健康な歯と歯茎を保っていきましょう。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・虫歯がない時の口臭が確認できる距離は、約30cm~50cm
・虫歯が原因の口臭の場合は、無風状態で約1m、酷い時だと2mも広がる
・悪い臭いは広がりやすいので、周囲の人にも口臭の影響が及んでしまう
・虫歯の治療をすることで改善できるので、気付いたらすぐに受診する
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。