親知らずと虫歯~特徴を知って正しい歯磨きをしよう~

歯は、口を開けて見えている所だけでなく、自分の目ではっきり確認できない位置に生えていることもあります。
そもそも生えていないこともあり、認識するのが難しい場合もあります。
それが「親知らず」。
親知らずは目視が難しいからこそ、虫歯に注意しなければなりません。
今回は、そんな親知らずについて解説しましょう。

なぜ親知らずは虫歯になりやすいのか?

親知らずとは、歯の最も奥に生えてくる歯になります。
「親知らず」と呼ばれている所以は、全ての歯が生えそろう時期よりも後に、親が知らない間に生えている所から来ています。
親知らずが虫歯になりやすい要因は、生えているポジションにあると言って良いでしょう。

目視で確認できる奥歯よりも、さらに奥に生えてくる歯ですから、歯磨きがしにくいのです。
虫歯になりやすい歯の特徴の中には、ブラッシングがしにくい位置にある歯もあるでしょう。
目に見える範囲の歯は把握できても、よく見えない奥の方の歯には丁寧なブラッシングが中々しにくいのです。
このことは、親知らずに限らずブラッシング指導でも話題になります。

さらに、親知らずの生えている状況には個人差があります。
例えば、少しだけ生えている人もいれば、全く生えてこないということもあるでしょう。
生えていても、磨きやすい形状なのかもポイントになります。
そうなると、通常の歯と同じように磨くのは、至難の業です。
磨きなれないことや、歯の生え方的にブラッシングが難しいことも、虫歯になりやすい要因に挙げられるでしょう。

親知らずが斜めに生えていると虫歯に要注意

ここで、親知らずで最も虫歯になりやすいパターンをご紹介したいと思います。
それは、親知らずの歯が斜めに生えてしまい、第二大臼歯にぶつかってしまうことです。
ぶつかった場合、痛みを感じてしまうと考えてしまうでしょう。

ですが、真っすぐに歯が生えないということは、ぶつかった歯との間に少なからず隙間ができてしまいます。
その隙間のメンテナンスが上手くできず、歯垢が溜まってしまうとどうでしょうか?
あっという間に、虫歯の温床になってしまいます。

親知らずは、他の歯や骨格に影響を与える可能性があります。
しかし、中には治療しないままでも問題ない場合もありますから、素人判断をしてはいけません。
実際に痛み等の支障が出ている時だけでなく、悩みがない場合でも同様です。
歯科クリニックで治療が必要なのかどうかを、聞いてみると良いでしょう。

親知らずの虫歯を放置するとどうなる?

親知らずの虫歯を放置することには、以下のようなリスクがあります。

・強い痛みや口臭
・歯髄の壊死
・他の病気の発症

親知らずの虫歯を放置すると、症状が進行して歯の内部にある歯髄にまで虫歯菌が到達します。
これにより、強い痛みや口臭が発生します。

また虫歯が歯髄にまで達すると、感染根管を発症します。
感染根管とは神経が壊死した状態を指し、歯が黒っぽく変色したり、歯が脆くなったりすることにつながります。

さらに親知らずの虫歯を放置すると、他の病気を発症する可能性もあります。
例えば副鼻腔炎や骨髄炎、脳梗塞などを発症すると、口内だけでなく全身の健康状態に悪影響を及ぼします。

親知らずの虫歯は抜歯するしかない?

親知らずが虫歯になった場合、よほどの理由がない限りは抜歯を選択することになります。
中には抜歯をしたくないと考える方もいますが、そもそも現代人の顎は以前より小さくなっていて、親知らずがなくても噛み合わせをつくることが可能です。
つまり親知らずは必要ない場合がほとんどだということです。

その上虫歯を発症したということは、しっかり磨けていなかったということの現れであり、もし治療したとしても虫歯が再発するリスクは高いです。
そのため、虫歯の再発リスクを防ぐという意味でも、抜歯を選択するのが一般的です。

親知らずの抜歯を行わないケース

親知らずの虫歯は基本的に抜歯で対応しますが、場合によっては他の治療法が用いられることもあります。

例えば上の親知らずと下の親知らずがまっすぐに生え、きちんと噛み合っている場合、通常の歯と同様に虫歯治療を行うのが一般的です。

またドナー歯として使用できる場合も、親知らずを抜歯しない場合があります。

ドナー歯とは、移植に使用する歯のことをいいます。
親知らずをはじめ、噛み合わせに関与していない不要な歯については、他の箇所の歯が抜けたときに移植する歯として残しておくことがあります。

親知らずの痛み=虫歯とは限らない

親知らずに痛みがある場合、虫歯だと判断する方は多いかと思いますが、必ずしもそうとは限りません。

例えば親知らずに汚れが溜まると、細菌が繁殖したことにより、歯茎が炎症を起こして痛みが生じることもあります。
このように、親知らずの周囲で歯茎が炎症することを智歯周囲炎といいます。

また智歯周囲炎が悪化すると、喉の痛みを感じたり、口の開閉がしづらくなったりします。
さらに顎の骨や筋肉内に膿が溜まったり、親知らず周辺が大きく腫れたりすることも考えられます。

場合によっては強い痛みも感じるため、智歯周囲炎の場合も虫歯と同じく、早急に歯科クリニックに相談しなければいけません。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・親知らずは、最も奥に生えているため、虫歯になりやすい

・生えている状況によっては、ブラッシングがしにくく、歯磨きが難しい

・斜めに生えてしまった場合は、他の歯との間に隙間ができ、そこに歯垢が溜まる

・治療が必要かどうかは、歯科クリニックで検査してもらおう!

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。

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