歯科クリニックで入れ歯を作る場合、最低でも1~2カ月程度かかります。
患者様によってはそれ以上作成に時間がかかることがありますが、どのような工程を経て作られているのでしょうか?
作業工程を知る機会は、あまりないはずです。
今回の記事を通して、入れ歯への理解を深めてみませんか?
歯科クリニックで作られる入れ歯の大まかな流れ
歯科クリニックで入れ歯を作る際、歯や歯茎の型取りを最低でも2回行います。
1回目と2回目の型取りのことを、それぞれ“概形印象”、“精密印象”と言います。
1回目に行う概形印象では、口の中を大まかに型取りし、歯の生えている方向や歯茎の状態、歯の本数を確認します。
入れ歯を作成するにあたり、口の中を確認するための工程になりますので、これで終わりではありません。
ここで模型を作成し、次の型取りで本格的な入れ歯の土台を作っていきます。
2回目に行う精密印象では、概形印象よりも精密に型取りを行います。
2段階の型取りを行うことで、患者様に合った入れ歯を作成できます。
その後、“咬合採得”という噛み合わせの調整を行い、完成前にロウでできた入れ歯で試し入れをする“試適”を行います。
試適で問題がなければ、入れ歯が完成です。
もちろん、試適時の入れ歯と完成品の入れ歯は違いますから、多少微調整が必要になる場合もありますので、すぐに渡してもらえるとは限りません。
歯科クリニックの入れ歯作成で時間のかかる工程は?
歯科クリニックで入れ歯作成の際に一番時間がかかるのは、咬合採得です。
ここでは、噛み合わせだけでなく、歯がない患者様だと見た目の調整も一緒に行われます。
噛み合わせに不備があると、せっかく入れ歯を作成した意味がありません。
違和感や痛みが強くなってしまうと、装着できず、入れ歯本来の役割を果たせなくなるからです。
そうならないために、歯科クリニックでは状況に応じて、1回だけで終わらせず、2回調整を行うことがあります。
時間のかかるところですが、安心して使用するために欠かせない工程であることを理解しておきましょう。
入れ歯は無事に完成したとしても、それで通院が終わりではありません。
実際に使用してみてトラブルが起こる時もありますので、定期的に入れ歯の状態を診てもらうのを忘れないようにしてください。
歯科クリニックでの入れ歯作製費用は?
歯科クリニックで入れ歯を作製する際、保険診療か自由診療かで費用相場は変わってきます。
また、部分入れ歯か総入れ歯かでも金額は異なります。
保険診療の部分入れ歯は、自身の歯を補う歯の本数で値段に変動がありますが、おおむね5,000~14,000円程度です。
総入れ歯の場合は、上下片側だけでも10,000~15,000円かかります。
保険診療で使用される素材は歯科用プラスチックであり、短期間で作製できますが、審美的なメリットはそれほどありません。
一方自由診療の部分入れ歯は、良い材料と手間をかけて作製されるため、金額はより高めになります。
具体的には部分入れ歯が15万~200万円程度、総入れ歯が30万~300万円程度です。
ちなみに自由診療の入れ歯には、ノンクラスプデンチャーやバネが透明なタイプなど、入れ歯をしていることがわかりにくいものもあります。
歯科クリニックの入れ歯のつくり直しについて
歯科クリニックで入れ歯を再度つくり直す場合も、はじめに作製した入れ歯と同じくらいの期間や費用がかかります。
保険診療の入れ歯については、作製後から6ヶ月はつくり直しができないというルールがあります。
歯科クリニックを途中で変更してもこちらのルールは適用されるため、注意してください。
ただし自治体によっては、壊れてしまった場合などは例外になることもあります。
調整については、作製後6ヶ月以内でも大丈夫です。
また自由診療の入れ歯については、上記の6ヶ月ルールが適用されません。
歯科クリニックの入れ歯の寿命は?
歯科クリニックの入れ歯における寿命は、プラスチック製の場合で3~5年程度、金属製の場合で5年以上です。
一度作製すれば、永遠に使い続けられるというわけではありません。
また寿命を迎えていなかったとしても、歯が新たに抜けたときや、入れ歯を引っかける歯を治療したときなどは、つくり直しを行うべきです。
新たに別の歯が抜けると入れ歯が合わなくなり、咀嚼のしづらさを感じるようになります。
暫定的に現在の入れ歯に歯を足し、使えるようにすることもありますが、こうなった場合はなるべく早めにつくり直すべきです。
さらに入れ歯は隣の歯にバネをかけて固定しますが、バネを引っかけている歯を治療して形状に変化が見られると、入れ歯をうまく固定できなくなります。
そのため、入れ歯を引っかける歯を治療した場合も、できるだけ早くつくり直すことをおすすめします。
ちなみに、入れ歯の経年劣化が見られる場合も、一度歯科クリニックに相談するべきです。
例えば咬合面が擦り減って噛みにくくなっている場合や、ヒビが入っている場合、歯茎が痩せて入れ歯がゆるくなった場合などはつくり直した方が良いでしょう。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯科クリニックでは、入れ歯の型取りを2回行う
・型取りをした後に、時間をかけて噛み合わせや見た目の調整を行う
・完成前に、試適で口の中に合っているかどうかを確認する
・入れ歯が完成した後も違和感などが発生することがあるため、定期的に確認する
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。