歯を残すことにより、健康的な悪影響がある場合などは、歯科クリニックで抜歯を行います。
しかし、何かしらの病気を患っている方は、それらが抜歯によるリスクを高めてしまう可能性があるため、必ず事前に伝えなければいけません。
今回は、抜歯によるリスクが高い持病をいくつか紹介します。
骨粗しょう症
骨粗しょう症は、骨が脆くなり、少しの刺激で骨折などをしてしまう病気です。
また、こちらの治療には、ビスホスホネート製剤というものが使用されます。
こちらは、骨吸収や破骨細胞という骨を破壊する細胞の働きを抑え、骨密度を上げるための薬で、骨粗しょう症による骨折などを防ぐ働きをします。
しかし、ビスホスホネート製剤による治療途中に抜歯などの外科手術を行うと、顎の骨が壊死するリスクがあります。
そのため、抜歯を行う場合には、最低でも3ヶ月以上の休薬期間が必要であり、投薬中に治療を受けることは原則できません。
高血圧症
高血圧症は、文字通り血圧が高すぎる状態を続ける病気です。
血圧は、心臓から送り出された血液が動脈の血管壁の内側を押す力であり、こちらが高すぎると、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病といった重大な病気を招きます。
また、高血圧症の方も、抜歯を受けるのは難しいケースが多いです。
抜歯の際に使用される麻酔薬の中には、血管収縮剤という成分が含まれていて、こちらが原因で血圧が上昇する可能性があります。
さらに、高血圧で収縮期血圧が160mmHgを超えると、抜歯後になかなか血が止まらなくなることも考えられます。
そのため、抜歯前には必ず安静時の血圧、降圧剤の服用状況などを確認します。
虚血性心疾患
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓で心臓の血管が狭くなり、心臓に酸素や栄養が行き渡らず、運動やストレスで前胸部などに痛み、圧迫感といった症状を生じる状態です。
こちらは、心筋の局所的な壊死を伴う心筋梗塞と、壊死を伴わない狭心症に大別されます。
また、心筋梗塞の場合は、発作後6ヶ月以内、または6ヶ月以上を経過していても、不整脈や狭心症の発作が残っている場合、抜歯は禁忌となっています。
狭心症でも、発作が10分以上持続する場合などは、基本的に抜歯が困難になります。
まとめ
ここまで、抜歯によるリスクが高い主な持病を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
上記のような病気を患っていることは、治療を行う歯科クリニックの医師は知り得ないことです。
もちろん、事前にカウンセリングなどは行われますが、治療中または治療後のリスクを考慮し、必ず持病があること、薬を服用していることなどについて、事前に医師に伝えておきましょう。
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