重度の虫歯を患ったとき、親知らずの生え方が悪いときなどは、歯科クリニックで抜歯をしなければいけないことがあります。
しかし、抜歯にはいくつかのデメリットがあり、可能であれば歯を残したまま治療するのが望ましいです。
今回は、こちらのデメリットの内容について解説したいと思います。
精神的な負担
抜歯のデメリットと言えば、やはり精神的な負担が挙げられます。
歯の健康のために、抜歯を行わなければいけないケースがあるとはいえ、慣れていない方はこちらの手術そのものに対する精神的負担、恐怖心が大きくなります。
もし、抜歯への恐怖心が拭えないというのであれば、事前に歯科クリニックの医師に相談しましょう。
笑気麻酔の検討や、抜歯に対する不安を取り除く説明をしてもらえるかもしれません。
ちなみに、手術自体に抵抗がなかったとしても、「天然歯を失ってしまう」という事実に対し、ショックを受ける方も多いです。
術後の腫れや痛み
抜歯を行った後は、一時的に腫れや痛みが出ることがあります。
こちらの腫れや痛みは、基本的には2~3日で治まってくるケースが多いですが、歯茎を切って埋没している親知らずを抜くなどの処置であれば、大きな痛みが続くことも考えられます。
また、抜歯後にアルコールの摂取や運動をすることにより、このような腫れや痛みはさらに長引く可能性があり、日常生活に支障をきたすことも考えられます。
虫歯や歯周病のリスク増大
抜歯をした後、その部分の歯を失ったままで放置していると、歯がなくなった隙間に隣の歯が寄りかかってきたり、噛み合わせている上、もしくは下の歯が伸びてきたりすることがあります。
そのため、歯並びは悪化します。
また、抜歯によって歯並びが悪化すると、歯と歯の隙間が歪になったり、歯が傾いたりするため、ブラッシングがしにくくなり、虫歯や歯周病を発症するリスクも高くなります。
もちろん、歯並びの悪化は、これらの病気のリスク増大だけでなく、咀嚼の不便さや消化器官の負担などにもつながるため、抜歯後は入れ歯やブリッジ、インプラントなどの方法で失った歯をカバーするべきです。
噛み合わせが悪くなる
先ほど抜歯を行うことにより、歯並びが悪化するという話をしましたが、同じように噛み合わせも悪くなるリスクがあります。
こちらは抜歯することで、上下の噛み合わせにズレが生じるのが理由です。
また噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節症や筋肉の緊張、頭痛などが引き起こされることもあります。
特に奥歯を抜いた場合は咀嚼力が低下し、咬合機能に悪影響を与えることが考えられます。
ちなみに顎関節症を発症すると、開咬障害や顎の異音などの症状にも悩まされることになります。
もちろんこれらの症状が重なると、満足に食事や会話を楽しむことができなくなり、ストレスが蓄積されます。
出血しやすくなる
抜歯は治療中における出血のリスクを高めることがあります。
こちらは、血圧が急激に上昇することが原因です。
患者さんが極度に緊張している場合、それだけでも血圧は高くなりやすいです。
その上抜歯する歯の根が曲がっていると、処置に時間がかかることがあり、より患者さんの血圧は上昇しやすくなります。
さらに抜歯があまり得意ではない歯科医師が施術を行う場合も、同様に時間がかかることがあります。
これらの理由から、患者さんは身体だけでなく精神的にも負担がかかり、強いストレスから血圧が上昇し、出血しやすくなることが考えられます。
ちなみに、極度に恐怖心やストレスが強くなると、抜歯に伴う麻酔によるショック症状が稀に起こります。
コストがかかる
抜歯を伴う歯科治療は、非抜歯と比べてコストがかかりやすくなります。
例えば矯正治療における抜歯は、保険が適用されない自由診療です。
そのため、1本あたり15,000円ほどの費用がかかることもあります。
複数本抜歯することになれば、当然さらに費用が追加されます。
もちろん、歯科クリニックによっては、矯正治療費に抜歯費用が含まれていることもあります。
ただし別途必要となるケースも少なくないため、事前に歯科医師に確認しておくことが大切です。
本来抜くべきではない歯を抜いてしまう可能性がある
こちらも矯正治療に伴う抜歯に言えることですが、本来抜くべきではない歯を抜いてしまうリスクがあります。
矯正治療では、審美性や噛み合わせのことを考慮し、前歯から4本目の第一大臼歯を抜歯することがあります。
しかし、2本目や3本目の歯を抜いた方が、簡単に歯並びを改善できるような症例も多いです。
また矯正治療の知見に乏しい歯科クリニックでは、そういったケースで間違った歯を抜歯してしまうケースも度々見られます。
審美性や噛み合わせまで考慮できていれば良いのですが、矯正後に審美性や噛み合わせの問題が起きてしまうケースも少なくありません。
まとめ
ここまで、抜歯を行うことによる主なメリットについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
抜歯はさまざまなデメリットやリスクがあるため、歯科クリニックでは、それほど頻繁に用いられる治療ではありません。
ただし、どうしても残存している歯の状態が悪い場合は、やむを得ず抜歯が選択されるケースがあるため、その際にはきちんと注意点などについて説明を受けましょう。
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