妊娠中は、体に様々な変化が表れます。
お腹が大きくなっていくことはもちろんですが、視覚的に認識できない体内においても様々な変化が起こっているのです。
特に気をつけたいのが、カルシウム不足です。
カルシウムは歯の主成分なので、カルシウム不足は歯の健康を損なってしまいます。
カルシウム不足を防ぐにはどうしたらいいのか、解説します。
カルシウムが不足する原因は?
妊娠中にカルシウムが不足するのは、お腹の中に子どもがいるからです。
お腹の中では、子どもが少しずつ形作られていきます。
子どもの歯が生えるのは生まれてから半年ほど経ってからですが、歯そのものはお腹の中ですでにできています。
歯や骨を造るため、お腹の中にいる胎児はお母さんからカルシウムを吸収しています。
妊娠中にカルシウム不足になるのは、胎児を育てるためです。
加えて、日本人はカルシウムが不足気味です。
カルシウムの推奨摂取量は、1日あたり成人男性が650~800mg、成人女性は約650mgで、妊娠中は約900mg、授乳期は1100mgとされています。
しかし、実際に摂取できている量は、男女とも約400~500mgです。
普段からカルシウムを十分に摂取できていないところに、妊娠によってカルシウムが胎児に吸収されてしまうため、妊娠した女性はカルシウム不足に陥りやすくなるのです。
カルシウムはどうやって摂取する?
カルシウムが不足している場合、どうやって摂取すればいいのでしょうか?
効率的にカルシウムが摂取できるのは、牛乳です。
牛乳200mlには、おおよそ227mgのカルシウムが含まれています。
牛乳を飲み過ぎるとカロリーを摂取しすぎてしまいますが、1日400mlほどなら問題はありません。
妊娠中なら、500mlを目安に飲むようにしてください。
牛乳のほかにもカルシウムが豊富な食品はあります。
乳製品のチーズやヨーグルトなどはもちろん、シラスや干しエビ、イワシなどの魚、小松菜やチンゲン菜、高野豆腐などにも豊富に含まれています。
ヒジキは、カルシウムだけではなく鉄分も豊富なので特におすすめです。
大豆製品にも、カルシウムは豊富に含まれています。
つわりなどがある場合は、食べられるものだけにしましょう。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けてくれます。
食品からはわずかしか摂取できない栄養素ですが、日光浴をすれば体内で生成されるため、1日15分の日光浴を心がけましょう。
カルシウムを多く摂取できるレシピ
カルシウムを多く摂取するには、効率的に採り入れられる料理を食べることをおすすめします。
例えば鮭とキノコのクリームシチューは、カルシウムが豊富な牛乳と鮭、キノコなどビタミンDが豊富な食材を同時に摂取できます。
またその他でいうと、チンゲン菜とちりめんの炒め物もおすすめです。
こちらはカルシウムたっぷりのちりめんじゃこと、相性抜群のチンゲン菜を好きな味で炒めたもので、比較的手軽につくることができます。
ちなみにおやつとしては、木綿豆腐とホットケーキミックス、スキムミルクを混ぜ合わせ、油で揚げた豆腐のドーナツもおすすめです。
豆腐とスキムミルクから、しっかりとカルシウムを摂取することできる上に、低カロリーで罪悪感も少ないです。
カルシウムを効率良く摂取するその他の方法
妊娠中にカルシウムを効率良く摂取するためには、カルシウムを摂るタイミングや量についても工夫すべきです。
摂取のタイミングについては、なるべく夜が良いです。
夜は骨や歯をつくるホルモンが活発になるため、カルシウムがより効果を発揮しやすくなります。
また一度に大量のカルシウムを摂取するよりも、1日を通して少量ずつ摂取する方が吸収率は向上すると言われています。
そのため、朝・昼は少し、夜は気持ち多めに摂取することをイメージしておきましょう。
カルシウムの過剰摂取について
カルシウムは妊娠中積極的に採り入れるべき栄養素ですが、中には過剰摂取にならないか心配な方もいるかと思います。
結論からいうと、カルシウムに過剰摂取のリスクはほとんどありません。
確かに過剰に摂取すれば、便秘や軟組織の石灰化、高カルシウム血症や前立腺がんなどの障害が起こる可能性はあります。
しかし、これらの悪影響は、あくまで摂取推奨量の何倍ものカルシウムを摂取したときに起こり得ることです。
通常の食生活を送っている場合、大量のカルシウムを摂取してしまうことはまずありません。
カルシウムの吸収を妨げる栄養素について
食品内に含まれるリンというミネラルは、腸で吸収されるとほとんどがリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして骨や歯の構成部分になります。
またリン酸は骨や歯をつくるのに必要な成分ですが、過剰に摂取するとカルシウムの吸収を阻害するおそれがあります。
特に注意すべきなのは、食品添加物としてリンが含まれている食品です。
具体的にはハムや練り物、缶詰や漬物といった加工食品、インスタント食品や清涼飲料水、お菓子などに含まれることが多いです。
ちなみに純粋な栄養素としてリンが含まれる食品には、タラコやイクラなどの魚卵、豚や鶏のレバーなどが挙げられます。
まとめ
妊娠中は、カルシウムが胎児に吸収されるためカルシウム不足になりやすいので、カルシウムを積極的に摂取するようにしましょう。
カルシウムが不足すると、骨や歯がもろくなってしまい、虫歯になるリスクも高まります。
カルシウムの摂取と共に、毎日15分ほどの日光浴をして、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの生成を促しましょう。
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