虫歯予防において、早食いは禁物です。
それだけでなく、早食いを続けていると身体の成長に支障が出てしまう可能性があるのです。
これはどうしてなのでしょうか?
今回は、早食いに潜む虫歯と身体へのリスクについてご説明します。
歯科クリニックの視点から、早食いのリスクを見てみましょう。
早食いだと虫歯になりやすいのは本当
早食いをしてしまうと、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまいます。
虫歯予防において、“噛む”という行為はとても重要です。
よく噛んで食べると、唾液の分泌量が増えますから、虫歯菌の活動を抑え、虫歯になりにくい環境を作り出すことができます。
しかし、早食いでよく噛まずに食べてしまうと、虫歯菌を抑える唾液の分泌量が少なくなってしまいます。
その結果、口の中の虫歯菌が活発になりやすい環境になってしまうのです。
そして、早食いの影響は虫歯だけに留まりません。
歯周病や、口臭が発生してしまう恐れがあるのです。
唾液の分泌量が少ないと、様々な歯科疾患のリスクを高めてしまうのが明らかです。
つい早食いしてしまっている患者様は、普段の食べ方に注意しましょう。
食事の習慣を見直すことも、虫歯予防の第一歩になります。
満腹感を得にくいことも虫歯につながる
早食いをしている方は、ゆっくり食べる方に比べて満腹感を得にくいです。
なぜなら、よく噛まずに飲み込むことで満腹中枢が刺激されるまでに時間がかかるからです。
また満腹感を得にくいということは、食事を摂る時間が長くなるということです。
口内は、食事をしているとき酸性になり、少しずつ歯を溶かして虫歯のリスクを高めます。
逆に、食事をしていないときは口内が中和され、虫歯のリスクが軽減されます。
つまり、食事の時間が長引くことにより、常に口内が酸性に傾いてしまうということです。
血糖値スパイクにも注意
普段から早食いをしている方は、血糖値スパイクによる虫歯リスクの増大にも注意しなければいけません。
血糖値スパイクは、食後に血糖値が乱高下する現象です。
食後の短時間のみ血糖値が急上昇し、急上昇した血糖値を抑えるためにホルモンが大量に出ることで、今度は血糖値が急降下します。
またこちらを引き起こす原因は、炭水化物と早食いです。
早食いをする方の中には、丼や麺類などを流し込むように食べる方も多いです。
これらは炭水化物が多く、急激に入ってきたブドウ糖によって血糖値が急上昇し、血糖値スパイクにつながります。
さらに血糖値スパイクが起こると、歯の内部に口内の細菌が侵入するリスクが上昇し、虫歯を発症しやすくなります。
早食いが起こす虫歯以外の影響
また、早食いの影響は虫歯以外に、顎の骨にも出てきます。
食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうと、噛む行為が不足してしまいます。
噛むことは顎の骨の発達にも関わりますから、早食いを続けていると顎の骨が弱くなってしまう恐れがあるのです。
顎の骨が成長しないままだと、綺麗な歯並びにも影響してきます。
また、何らかの歯科治療を行うにしても、顎の骨の関係で治療がすぐに行えない、他の治療法を選択するしかない場合が出てきます。
加えて、噛む行為は脳の活性化にも繋がります。
噛む回数が多いことで頭が良くなるわけではありませんが、脳細胞の活性化によって脳の働きが良くなります。
頭が冴えるようになりますので、仕事や勉強に集中しやすくなるでしょう。
早食いは、消化不良を招くだけでなく、肥満にもなりやすい食べ方です。
虫歯予防を徹底するなら、ゆっくり食べる、よく噛むことを改めて心掛けましょう。
更なる虫歯予防に歯科クリニックの定期検診も加えてもらえると、より安心です。
逆流性食道炎を発症することもある
早食いの習慣がある方は、逆流性食道炎を発症する可能性もあります。
逆流性食道炎は、胃酸や十二指腸液が食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜に炎症を引き起こす疾患です。
早食いは短時間で大量の食べ物が胃に入るため、胃の内圧が上昇します。
これにより、胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋や緩みやすくなり、胃酸が食道に逆流するリスクが高まります。
またよく噛まずに飲み込むと、食べ物が胃に長くとどまるため、胃酸の分泌量が増加します。
そのため、逆流する胃酸の量も増え、食道への刺激が強くなります。
さらに、早食いは食べ物と一緒に空気も多く飲み込んでしまう食べ方です。
空気を多く飲み込むとゲップが出やすくなり、ゲップの際に胃酸が逆流するリスクがあります。
早食いが肌の老化を引き起こすことも
早食いをすることにより、肌の老化が目立つケースもあります。
早食いは、食事から摂取した糖質が急激に吸収されるため、血糖値が急上昇します。
血糖値が急上昇すると、体内のタンパク質と糖が結びつき、AGEs(終末糖化産物)という老化物質が生成されます。
またAGEsは、肌のコラーゲンやエラスチンといったタンパク質を劣化させ、肌のハリや弾力を失わせるだけでなく、シワやたるみの原因にもなります。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・早食いをすると、唾液の分泌量が減り虫歯になりやすくなる
・虫歯だけでなく、歯周病や口臭が発生してしまうこともある
・早食いでよく噛まないで食べると、顎の骨の発達にも影響してしまう
・噛む行為は虫歯予防だけでなく、脳の活性化にもなるため、ゆっくり食べるようにしよう
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。