歯科クリニックでは、虫歯治療の最後に詰め物をすることがあります。
しかし、いくら治療のためとはいえ、詰め物をするのは嫌だと思う患者様もいるでしょう。
詰め物なしで治療を行うことは、可能なのでしょうか?
今回は、詰め物なしでも治療が行えるのか、それを希望する患者様の心情についてお話しします。
虫歯治療で詰め物なしは問題ないの?
結論から言うと、虫歯治療の際に行う詰め物をなしにすることはできません。
詰め物をする理由は、“歯を守る”ためです。
虫歯治療のために歯を削ることがありますが、その際に象牙質が露出してしまいます。
象牙質が露出したままの状態では歯が脆くなり、細菌に感染してしまう恐れがあるのです。
その結果、せっかく虫歯の治療をしても再発してしまう可能性があります。
さらに、歯が脆くなっていることから、ちょっとした衝撃で歯が割れてしまうこともあります。
確かに、虫歯の進行具合や治療の状況から、詰め物をしないで治療することもあります。
しかし、ほとんどの場合は細菌感染や衝撃から歯を守るため、詰め物で処置しなければなりません。
このような意味があるからこそ、詰め物が取れてしまった時は歯科クリニックで再度詰めてもらうように伝えているのです。
詰め物が必要ないケース
先ほど、虫歯の進行具合などによって、詰め物をしないケースもあるという風に解説しました。
具体的には、完全に初期段階の虫歯の場合、詰め物をせずに治療を終えることがあります。
初期段階の虫歯は、一切歯を削らなくても治療できる可能性があります。
詰め物は歯を削り、象牙質が露出した部分をカバーするためのものであるため、このようなケースでは必要ありません。
逆に虫歯が中程度～重度にまで進行している場合、歯がボロボロの状態であるため、詰め物で対処するのは難しいです。
このようなケースでは詰め物ではなく、歯をスッポリと覆う被せ物を使用することになります。
被せ物は詰め物と比べて、審美性の高い素材を使用するのが一般的です。
虫歯治療で詰め物が嫌がられる理由
ところで、虫歯治療で詰め物なしにしたいと考えている患者様には、明確な理由があります。
それは、詰め物をすることで歯の見た目が悪くなってしまうということです。
従来の詰め物のイメージは“銀歯”ですので、審美的に好ましくないと感じてしまう患者様の気持ちにも共感できます。
しかし、最近の詰め物は銀歯だけではありません。
セラミックも選択肢の１つになり、詰め物が目立ってしまうことがなくなるのです。
とはいえ、目立たない素材は保険適用外になることが多く、治療費が高くなってしまうことを事前に理解しておかなければなりません。
費用面の高さが気になる患者様もいますが、二次虫歯の予防にもプラスになることを考えると、審美性以上のメリットが得られます。
詰め物なしの治療はできませんが、素材を選ぶことで様々な不安や悩みを解消できるのは事実です。
審美性を重視して相談される患者様は増えていますから、遠慮せずに相談してみまましょう。
保険適用の有無の相談からでも、問題ありません。
詰め物の痛みが不安な方も多い
虫歯治療で詰め物を嫌がる方の中には、詰め物の痛みについて不安を抱えている方も多いです。
しかし、結論からいうと、詰め物を入れる際の痛みはほとんどありません。
確かに痛みの有無や程度については人それぞれ違うため、ここで痛まないと断言することはできません。
ただし、痛んだとしてもそれはあくまで一時的なものであり、虫歯の痛みのように長続きすることは考えにくいです。
また、詰め物を入れるときに痛みを感じるようであれば、麻酔を使用して処置することも可能です。
一方、詰め物を入れた後の痛みは、場合によっては強く現れることがあります。
特に詰め物を入れた後、長期間経った後に痛んだ場合は、詰め物の下で二次虫歯を発症している可能性があります。
セラミックの種類について
虫歯治療後に装着する詰め物にはセラミックが使用されることもありますが、こちらにはいくつかの種類があります。
中でも代表的なのは、オールセラミックやハイブリッドセラミック、メタルボンドやジルコニアセラミックです。
オールセラミックは、セラミックの中でももっとも美しいタイプです。
100%セラミックを使用していて、年数が経過しても審美性が衰えず、劣化による変色もほとんど見られません。
また、ハイブリッドセラミックはレジンというプラスチックにセラミックの微粒子を練り込んだタイプです。
セラミックの審美性とレジンの柔軟性を兼ね備えています。
メタルボンドは金属のフレームを使用していて、そこにセラミックを焼き付けたものです。
破損してもフレームが無傷であれば修理もしやすく、強度の高さが特徴です。
ただし、メタルボンドは金属アレルギーのリスクが高いです。
ジルコニアセラミックは、メタルボンドと同様に強度の高さが特徴のタイプです。
人工ダイヤモンドであるジルコニアを使用したセラミックで、金属を使用していないため金属アレルギーの心配がありません。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・虫歯治療を詰め物なしで行うことはできない
・詰め物がないと、細菌感染や歯が折れてしまうリスクが高くなってしまう
・詰め物が嫌がられる多くの理由は、歯の見た目が悪くなってしまうから
・審美性と虫歯予防を兼ね備えている素材もあるため、遠慮せずに相談しよう
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。
