栄養不足の状態は、虫歯予防に限らず、身体にとっても良くありません。
虫歯予防に適している食べ物を食べるだけでなく、バランスよく食事をすることは身体全体の健康にも影響するのです。
特に夏場は、食欲が落ちてしまい、栄養不足になりやすいです。
本記事では、虫歯の発生と栄養不足との関係をご説明します。
虫歯のメカニズムと栄養不足の関係
虫歯菌が好むのは砂糖、糖分の多い食べ物です。
そのため、糖分が多く含まれる食べ物を食べない、控えるようにしたり、食べたとしても歯磨きをしっかりしたりすることを意識している方は多いです。
ですが、突然「甘い物が食べたい」という欲求にかられることもあるでしょう。
甘い物、糖分が多く含まれている食べ物を欲してしまうのは、本来身体に必要な栄養が不足している状態になるのです。
確かに、砂糖の一種である糖質は三大栄養素に数えられ、身体を作るのに欠かせない栄養素になります。
しかし、鉄分の摂取が少ないと、エネルギー作りに必要な栄養素が足りず、十分に産出できません。
この時、鉄分の代替としてエネルギー作りに関わってくるのが糖質になるのです。
甘い物が食べたいと感じた時は、もしかすると鉄分が不足している状態なのかもしれません。
ここが、虫歯の原因として栄養不足が考えられる理由になるのです。
虫歯菌の好物を栄養不足で取り続けないために
上記の流れを再度まとめると、栄養不足がきっかけで砂糖の多い甘い食べ物を摂取してしまいます。
そうなると、口の中に糖分が残ることになりますから、虫歯菌が活発になってしまいます。
つまり、虫歯が発生する、悪化するきっかけが栄養不足にあると言えます。
ここで大切なのは、バランスの良い食事を摂り、まず栄養不足の状態から脱することです。
いくら歯に良い食べ物を食べたとしても、全体の栄養バランスが良くなければ意味がありません。
特に夏場に夏バテしてしまいやすい方は、食欲が落ちることで食事から十分な栄養が確保できていない可能性があります。
食欲がない時も、少量で構いませんから体に必要な栄養素を取り入れた食事を心掛けてみてください。
しかしながら、栄養不足になっていることを自覚できない時もあります。
歯科クリニックでは、虫歯の原因を様々な角度で分析し、患者様に治療のアドバイスをしています。
受診前の食生活に不安のある患者様は、歯科クリニックの治療と並行して食生活の改善に努めましょう。
虫歯予防にはカルシウムの摂取が必要不可欠
虫歯予防に必要な栄養素としては、まずカルシウムが挙げられます。
カルシウムは、歯を構成する主な組織である象牙質の大部分を形成しています。
そのため、積極的に摂取することが求められます。
またカルシウムは、歯の表面にあるエナメル質の再石灰化においても、重要な役割を果たします。
再石灰化は、一度溶けてしまったエナメル質を再度修復し、強い歯に戻す働きです。
カルシウムは、こちらの働きを手助けしてくれます。
逆にカルシウムの摂取量が不十分だと、再石灰化が妨げられ、虫歯のリスクが高まります。
ビタミン類の摂取も心掛けるべき
虫歯予防を徹底するためには、ビタミン類の摂取も意識しなければいけません。
ここでいうビタミン類とは、ビタミンA・C・Dのことを指しています。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種であり、カルシウムとセットで採り入れることにより、歯や骨が健康になります。
具体的には、エナメル質や象牙質を強化してくれる働きがあります。
またビタミンCは、皮膚や血管などの老化を防止し、免疫力を高める抗酸化ビタミンです。
虫歯菌によってコラーゲン線維が破壊された歯茎を修復し、健康を維持してくれる効果があります。
さらに、ビタミンDはカルシウムの吸収率を高め、骨や歯への沈着を助けてくれるビタミンです。
こちらは虫歯予防だけでなく、歯の審美性をキープするためにも必要な栄養素です。
フッ素を採り入れることも意識しよう
普段の食事では、虫歯を予防するためにフッ素を採り入れることも意識しましょう。
フッ素といえば、ガムや歯科クリニックでのフッ素塗布で採り入れるイメージが強いですが、こちらは食品からも摂取できます。
具体的にはワカメや海苔などの海藻、めざしや牛肉、緑茶や紅茶などに含まれます。
特に含有量が多いのはめざしであり、こちらは数ある食べ物の中でも、トップクラスのフッ素含有量を誇ります。
ちなみに、食事の際に飲むものを緑茶に変えるだけでも、手軽にフッ素が摂取できます。
さらに緑茶には、強力な抗菌・抗ウイルス作用があり、こちらは虫歯菌だけでなく歯周病菌に対しても効果を発揮します。
栄養バランスの取れた食事で虫歯を予防しよう
虫歯を予防するには、さまざまな食材から多くの栄養素をバランス良く摂取することが大切です。
例えばチーズはカルシウムが豊富であり、ナッツにはカルシウムやマグネシウムなどが含まれています。
また緑黄色野菜はビタミンやミネラルが豊富で、フルーツ類はビタミンCの働きにより、歯茎の健康を保ちます。
さらにヨーグルトは、カルシウムとプロバイオティクスが含まれていて、歯と歯茎の健康をサポートします。
ちなみに水を定期的に摂取することでも、酸や食べカスを洗い流し、口内を清潔に保てます。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・虫歯菌が好む糖分の多い甘い物を食べたくなる原因に、栄養不足がある
・エネルギー作りに欠かせない鉄分が不足していると、代わりに糖質で産出される
・甘い食べ物を食べる機会が多いと、口の中に糖分が残り続けてしまう
・栄養不足が原因の時は、バランスの良い食事で栄養状態を改善することから始めよう
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。