ホワイトニングを行う場合、歯科クリニックでは事前に歯のトラブルがないかを調べます。
なぜなら、歯に何かしらトラブルがあると、ホワイトニングができないからです。
ところで、酸蝕歯の場合はどうなのでしょうか?
酸蝕歯の場合でもホワイトニングができるのかどうか、解説します。
酸蝕歯の概要
酸蝕歯は、歯の硬い組織であるエナメル質が酸に侵食されている状態です。
こちらは、生活習慣病の一種と考えられています。
日常的に摂取している食事や飲み物には、意外と多くの酸が含まれています。
特に果物やワインなどは、毎日のように摂取することで酸蝕歯を発症しやすいです。
酸蝕歯の仕組みとしては、まず酸が歯に触れ、エナメル質が一時的にやわらかくなって溶け出します。
やわらかくなった状態のときに強くブラッシングをしたり、硬い食べ物を食べたりすると、エナメル質が擦り減って徐々にエナメル質が薄くなっていきます。
さらに進行すると、歯の中の象牙質が露出し、刺激物などによってしみる知覚過敏の症状が出てきます。
唾液は口の中の酸を中和して自然なバランスを取り戻し、エナメル質を硬化させる働きがあります。
しかしその修復スピードは遅いため、酸性度の高いものを頻繁に摂っていると、酸蝕歯はどんどん進行します。
酸蝕歯であってもホワイトニングが可能な時とは?
仮に酸蝕歯が発覚した場合でも、次の状態ならばホワイトニングを行うことが可能です。
それは、軽度～中程度の状態の時です。
しかしながら、軽度と中程度では可能なホワイトニングの範囲が異なります。
軽度の場合は、自宅で行うホームホワイトニングと歯科クリニックで行うオフィスホワイトニングの両方が行えます。
軽度の場合だと、ホワイトニングで使用する薬剤などで歯の神経を痛めることがありませんから、治療に選択肢があるのです。
反対に、中程度の状態になっていると、薬剤が歯に染みてしまう可能性があるため、行えない治療も出てきます。
このような状態でも可能なのは、歯科クリニックで行うオフィスホワイトニングです。
歯の状態によってホワイトニングの方法が変わりますから、歯科クリニックで判断してもらい、適切な方法で歯を白くしていきましょう。
軽度の酸蝕歯とはどのようなもの?
軽度の酸蝕歯といっても、患者さん自身が軽度かどうかを判断するのは難しいでしょう。
もちろん、歯科クリニックで診てもらえば軽度かどうかすぐにわかりますが、軽度の酸蝕歯の特徴を知っておくと便利です。
具体的には黄色に変色している程度や、歯の透明度が高まっている程度の場合、まだ中程度にまでは進行していないと判断して良いでしょう。
また、以前と比べて歯の表面が滑らかになった場合や、溶けて丸みを帯びている場合も、軽度の酸蝕歯が疑われます。
実際ホワイトニングを受ける際、酸蝕歯が見つかって治療が進まなくなるのを防ぎたい方は、上記のような症状が出た時点で歯科クリニックに相談しましょう。
重度の酸蝕歯だとホワイトニングができない理由
重度の酸蝕歯が発見された場合、神経が死んでしまう恐れがあるため、歯科クリニックでもホワイトニングを勧めません。
例えば、歯科クリニックで確認した時に、歯が大きく削れている、象牙質が露出している、歯が欠けているのを発見した時はできません。
まずは、歯の治療から始めることになります。
重度の酸蝕歯でもホワイトニングを行いたい時の方法
とはいえ、重度の酸蝕歯でも一般的なホワイトニングとは異なった方法で、歯を白くすることが可能です。
可能な方法としては、セラミックを歯に被せて補強する方法や、マニキュア塗布の方法があります。
絶対にできないというわけではありませんから、どうしても歯を白くしたいと考えている患者様は歯科クリニックに相談してみましょう。
重度の状態でもホワイトニングを可能にする方法はありますが、一番良いのは健康な歯で行うことです。
歯の健康を考えると、ホワイトニング前に治療をしておくのが望ましいです。
これからホワイトニングを考えている患者様は、酸蝕歯を始めとするトラブルがないかどうかを歯科クリニックで確認してもらいましょう。
ホワイトニング歯磨き粉の使用は可能?
軽度もしくは中程度の酸蝕歯であれば、ホワイトニング歯磨き粉を使用することも可能です。
ホワイトニング歯磨き粉は、歯を白くすることを目的とし、それに特化した成分を含む歯磨き粉のことをいいます。
主にポリリン酸やポリエチレングリコール、ハイドロキシアパタイトなどの着色予防、汚れ除去作用がある成分が配合されています。
歯科クリニックでのホワイトニング同様、軽度または中程度の酸蝕歯の場合、ホワイトニング歯磨き粉を使用するのは可能です。
ただし、酸蝕歯を発症している場合、完全に真っ白にするのは難しいです。
もちろん、重度の場合は歯を刺激してしまう可能性もあるため、使用してはいけません。
さらに、ここでいうホワイトニング歯磨き粉は、歯科クリニックで取り扱っている製品を指しています。
ドラッグストアなどで販売されているホワイトニング歯磨き粉は、研磨剤が入っている可能性があるため、使用を控えるべきです。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・軽度～中度の酸蝕歯なら、ホワイトニングは可能
・中度の場合は軽度と異なり、オフィスホワイトニングを勧められる
・重度の場合だと、神経が死んでしまう恐れがあるため、ホワイトニングはできない
・重度でもホワイトニングを可能にする方法はあるが、治療してからの方が望ましい
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。
