イエテボリテクニックとは?~海外の歯磨きを学ぼう~

虫歯予防を徹底している国では、日本の歯磨きと違った方法を取り入れています。

その代表例が、“イエテボリテクニック”です。

これはスウェーデン発祥の歯磨き法なのですが、実践すると虫歯予防の効果が高まると、世界中から注目を集めています。

イエテボリテクニックとは、どのような歯磨き法なのでしょうか?

イエテボリテクニックで歯磨きする時の流れ

イエテボリテクニックとは、スウェーデンのイエテボリ大学で発案された、虫歯予防に欠かせないフッ素の効果を高めてくれる歯磨き法になります。

ここで、具体的な流れを確認しましょう。

・歯ブラシにフッ素入りの歯磨き粉を出す(2㎝ほどでOK)
・2分ほど歯磨きをする
・口の中に残っている歯磨き粉を出さずに、10ml(ペットボトルのキャップ1杯分)の水を含む
・そのまま30秒間、洗口する
・吐き出した後は、2時間飲食をしない

イエテボリテクニックの流れを見ると、難しい作業が一つもありません。

その代わり、口の中に歯磨き粉が残っている感覚がありますので、最初のうちは慣れない方も多いです。

また、歯磨きをした後に2時間ほど飲食ができませんから、食べ物の誘惑と戦うことになります。

スウェーデンは予防歯科の意識が極めて高い

イエテボリテクニックが誕生したスウェーデンでは、非常に予防歯科の意識が高い国として知られています。

かつては虫歯や歯周病などで歯を失う方が多い国でしたが、あまりの惨状を見かねたスウェーデン国家が、国家プロジェクトとして予防歯科をスタートさせました。

こちらは、今から50年以上も前のことです。

こういった取り組みが見事に実り、近年のスウェーデンでは国民の歯はみるみる健康になりました。

例えば70歳以上で残っている天然歯の平均本数を見てみると、日本人が16本であるのに対し、スウェーデン人は21本もあります。

成人の歯は親知らずを除くと28本であるため、スウェーデン人は70歳以上でもほとんどの歯が残っていることがわかります。

それほど、スウェーデンの予防歯科におけるレベルは高いということです。

イエテボリテクニックで歯磨きした時のメリット

イエテボリテクニックで歯磨きをすると、フッ素の効果が長時間続くメリットがあります。

たくさんの水で口をすすぎませんから、虫歯予防に大切なフッ素が歯に密着した状態になります。

その影響で、時間が経っても歯がツルツルしているという効果が得られやすいのです。

さらに、夜に実践した際に、翌朝の口の中の粘着が改善されたという方もいました。

丁寧に歯磨きをしている方でも、フッ素の定着が少ない磨き方をしていては、成分の効果を十分に感じられません。

いつもの歯磨きを少し変えるだけでできますから、実践してみてはいかがでしょう。

フッ素が虫歯予防につながる仕組み

フッ素が虫歯予防につながる仕組みには、口内で生成される酸が大きく関係しています。

虫歯ができる原因は主にです。

口内には常在菌が数多く存在していますが、そこに食物中の糖分やでんぷんなどが入ると、唾液や常在菌の働きで口内のpHが5.5を下回ります。

pHは酸性・アルカリ性の度合いを示す数値で、pH0が強酸性、pH7が中性、pH14が強アルカリ性という扱いになります。

口内(唾液)のpHは平均で6.8と言われていて、こちらはほぼ中性を示しています。

また、口内のpHが5.5を下回ると、歯の表面が溶け始めます。

歯の表面のエナメル質は人体でもっとも硬い部分ですが、酸性になると溶け始め、徐々に虫歯が形成されていきます。

このような口内の酸性化を抑えるのが、フッ素の役割です。

フッ素は、口内で細菌や酵素の働きについて、酸の生産を低下させる方向に作用します。

同時に歯の表面の再石灰化などを促進する働きもあるため、単に歯磨きをするよりもフッ素入り歯磨き粉を使用するのが望ましいです。

さらにイエテボリテクニックにより、フッ素を口内に長時間漂わせておくことで、効果的に虫歯の進行を抑えられるという仕組みです。

イエテボリテクニックで使用する歯磨き粉

イエテボリテクニックで歯磨きをする際は、始めに説明した通り、必ずフッ素入りの歯磨き粉を使用して下さい。

この歯磨き法はフッ素の定着率を高めるものですから、きちんと成分を確認して選ぶようにしましょう。

とはいえ、歯磨き粉の種類は豊富ですから、選ぶのに迷ってしまうこともあります。

歯科クリニックでは、専売品の歯磨き粉も取り扱っていますので、フッ素の定着率を高めたい方は一度覗いて見て下さい。

市販品とは違った、歯磨き粉に出会えるはずです。

イエテボリテクニックの注意点

イエテボリテクニックは、12歳未満の子どもには禁止されています。

なぜなら、高濃度のフッ素入り歯磨き粉を使用するからです。

フッ素は幼児の頃から歯磨き粉に含まれていたり、歯科クリニックで塗布してもらったりしますが、こちらはあくまで低濃度のフッ素です。

高濃度のフッ素は基本的には避けなければいけないため、注意してください。

ちなみに日本では、6歳以下の子どもに大人用のフッ素入り歯磨き粉を使用するのは良くないという認識が一般的です。

また大人が使う場合でも、フッ素の安全性が疑問視されることがありますが、過剰摂取にならなければ問題はありません。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・イエテボリテクニックは、スウェーデン発祥のフッ素の効果を高める歯磨き法

・フッ素の効果が持続するため、長時間派がツルツルになる

・夜に磨くと、口の中の粘着が改善された事例もある

・使用する歯磨き粉で迷った時は、歯科クリニック専売品も見てみよう

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。

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