セレック治療は、最短即日で白い歯が手に入るだけでなく、従来のセラミック治療よりも費用を抑えられる、金属アレルギーの心配がないなどのメリットもあります。
しかし、中にはこちらの治療があまり向いていない方もいます。
ここからは、セレック治療をおすすめできない方の特徴について解説したいと思います。
ブリッジを作製したい人
ブリッジは、欠損歯の代わりとなる人工歯を、両隣の歯に被せる冠と一体でつくったものです。
両隣の歯を土台とし、人工歯を支える非常にポピュラーな治療ですが、セレック治療は、こちらの作製には向いていません。
ブリッジをつくること自体は不可能ではありませんが、長期間使用したときの安全性が未知数であることから、多くの歯科クリニックでは作製を控えています。
そのため、ブリッジを作製したい方は、基本的には別の方法で作製することになります。
前歯に適応したい人
セレック治療がスピーディーに完結する一番の理由は、やはり歯科技工士による手作業ではなく、コンピューターによるセラミックブロックの自動掘削ができるからです。
しかし、こちらは色合いの問題につながることがあります。
セラミックブロックには、A2やA3といったさまざまな色が存在します。
手作業であれば、歯科技工士が患者さんの歯の色を確認し、セラミックを盛ってその色に近づけますが、セレック治療はオートマチックであるため、天然歯の色となかなか合わないケースが多いです。
特に、前歯は人の目につきやすい部分であり、少しでも天然歯と色が違うと違和感が出るため、前歯の補綴物を求めている方は、従来のセラミック治療がおすすめです。
歯ぎしりや食いしばりがある人
セレック治療で使用するセラミックは、耐久性に優れているものの、陶器の一種であるため、強い衝撃が加わると破損するおそれがあります。
例えば、奥歯にセラミックを装着した場合、日中または就寝中の歯ぎしり、食いしばりがある方は、それが原因で割れてしまうことも考えられます。
このような方は、セレック治療を受ける前に、歯ぎしりや食いしばりを改善したり、ジルコニアセラミッククラウンなどのより破損しにくい素材を選んだりするのがおすすめです。
不正咬合を治療したい人
セレック治療は、出っ歯などの不正咬合を治療したい方には向いていません。
なぜなら、あくまで審美目的の治療であるからです。
確かに、セレック治療を受けることで歯の出っ張りを改善できる可能性はあります。
しかし不正咬合については、歯並びではなく骨格が原因になっていることもあります。
セレック治療はあくまで歯の色や形状を調整するものであるため、骨格までは改善できません。
もし不正咬合改善の目的で行うのであれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの矯正治療を受けることをおすすめします。
ちなみに、矯正治療でも骨格自体は変えられないため、場合によっては顎骨を切って移動させる外科矯正が必要になります。
土台となる歯に金属が使用されている人
セレック治療を受ける場合、必ず土台となる歯が存在します。
このとき、すでに土台となる歯に金属の補綴物が使用されている場合、セレック治療は不向きだと言えます。
なぜなら、審美性に悪影響が出る可能性があるからです。
金属が土台に使用されている場合、セラミックの仕上がりが通常よりも暗くなります。
色合いでいうと、グレーっぽい色になってしまうことも珍しくありません。
またこれを改善したいのであれば、遮蔽効果のある被せ物を作製する必要があります。
そもそもセレック治療の適用が難しい人
保険診療のセレック治療は、原則としてどのような方でも受けられます。
2024年の診療報酬改定により、セレック治療はすべての歯で保険適用の対象となりました。
しかし治療対象となる歯に神経が通っていない場合や、対向歯を大きく削らなければいけない場合などは、セレック治療そのものが適さないことがあります。
つまり、保険適用の条件をクリアしていたとしても、口内環境によっては受けられないケースがあるということです。
ちなみに、永久歯が生え揃っていない子どもについては、基本的にセレック治療は受けられないと考えておきましょう。
治療後のケアができる自信がない人
こちらはセレック治療に限ったことではありませんが、治療後のケアを徹底できる自信がない方は、最初から治療を受けるべきではないと言えます。
セラミックの歯を長く使うためには、ブラッシングなど毎日のケアが大切です。
セラミックは虫歯になりにくい素材ではありますが、一切虫歯のリスクがないわけではありません。
またセレック治療を受けた部分が再び虫歯になると、詰め物や被せ物を交換しなければいけなくなります。
そのため治療後は自身で行うケアに加え、定期的に歯科クリニックに通い、検診を受けて口内の状態をチェックしてもらいましょう。
セルフケアももちろん大切ですが、それだけでは治療箇所に生じている問題を発見できないかもしれません。
まとめ
ここまで、セレック治療をおすすめできない方の特徴について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
セレック治療が優れた治療であることは間違いありませんが、適用したい治療法や部分、患者さんの状態によっては、他の治療法を選んだ方が良いこともあります。
もちろん、こちらの判断は患者さんだけで行うのが難しいため、まずは歯科クリニックの医師に相談してください。
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