歯ぎしりや食いしばりだけでなく、強い衝撃によって歯にひびが入ることがあります。
歯に入ったひびは、見た目に影響を与えるだけではありません。
治療しなければ、更なるトラブルを引き起こしてしまう可能性があるのです。
今回は、歯にひびが入った時に歯科クリニックで行う治療法についてご紹介します。
歯にひびが入る原因
歯にひびが入る主な原因は以下の通りです。
・歯ぎしり、食いしばり
・外傷
・噛み合わせ
歯ぎしりや食いしばりは、歯に多大な負荷がかかります。
軽度であっても、無意識の癖になっているケースがほとんどであり、ダメージが蓄積して突然ひびが入るということもあります。
また、転倒や交通事故などに伴う外傷により、歯にひびが入るパターンもあります。
ほとんどが不可抗力ですが、スポーツ中の口腔の外傷は、スポーツマウスピースを装着して防ぐケースが多いです。
その他、噛み合わせが悪いことで歯にひびが生じることもあります。
例えば噛み合わせが深い過蓋咬合、前歯が噛み合わない開咬(オープンバイト)などは、一部の歯に偏った負荷をかけて歯にひびを生じさせる原因になります。
歯にひびが入ったときの症状
神経が生きている歯の場合、軽いひびが入ると知覚過敏が生じます。
具体的には、冷たいものを飲むとしみるなどの症状が出ます。
ただしこちらはひびによるものなのか、単純な知覚過敏なのか、それとも虫歯なのかが見た目だけでは断定できません。
そのため、歯科クリニックに通い、レントゲン撮影を行う必要があります。
また、神経が生きている歯のひびが深い場合、冷たいものだけでなく温かいものでも痛みを感じやすくなります。
単純にものを噛んだときにも、痛みや違和感が生じる可能性があります。
ちなみに、神経がない歯の軽いひびは、ほとんど自覚症状がありません。
感じるとすれば、噛むときに違和感を覚えるくらいでしょう。
さらに、神経がない歯の場合、ひびが深くてもそれほど自覚症状はありません。
ただし、根の先端までひびが入っている場合は、他の症状と比べて大掛かりな治療が必要になることがあります。
歯のひびを早期に治療すべき理由
少しでも歯のひびがあるとわかった場合、なるべく早急に治療を受けなければいけません。
その理由は以下の通りです。
・自然に治癒しない
・虫歯のリスクが高まる
・痛みが生じる
・歯茎や骨に炎症が生じる
・歯が欠けたり割れたりする
一度ひびが入ってしまった歯は、自然に治癒することがありません。
治療方法については後述しますが、放置するとさまざまなトラブルにつながります。
まず、ひびが入るとその部分に虫歯の原因となるプラークが付着します。
すると、ひびから虫歯を発症する可能性があります。
また、症状の項目でも触れましたが、ひびが神経まで到達すると強い痛みが生じます。
さらに歯のひびを放置することで歯の根が折れてしまい、歯茎が腫れたり、出血したりすることもあります。
悪化すると、その下の骨まで炎症が広がることも考えられます。
ちなみに、歯のひびは歯の破折や欠損などのリスクも高めます。
エナメル質にひびが入っている時の治療法
歯にどのようなひびが入っていたとしても、歯科クリニックの治療を受けなければなりません。
とはいえ、ひびの程度によって、治療法は異なります。
エナメル質にひびが入っていた場合は、大きな治療をせず、経過観察で様子を見ることがほとんどです。
なぜならエナメル質にひびが入っても、痛みを感じることがないからです。
よって、ひびの状態が悪化するようなことがあれば、本格的な治療を行うことになります。
しかし、エナメル質のひびでも、冷たい物を食べた時に痛みを感じる時は、歯の表面をレジンでコーティングすることがあります。
常に痛みを感じない時でも、飲食時に痛みがある際は念のためひびの治療をしてもらうことをお勧めします。
象牙質までひびが入っている時の治療法
エナメル質だけでなく、象牙質までひびが生じている場合は、レジンで接着したり、その上から被せ物をして修復したりする治療法を行います。
特にひび割れが酷い時は、レジンだけでは足りませんから、被せ物も用いて対処します。
ひびだけでなく、割れた状態になってしまうと更なるトラブルを引き起こしてしまいますから、なるべく早く歯科クリニックを受診して治療してもらいましょう。
最悪、歯が折れてしまった場合は、24時間以内に対応できれば、元の歯を接着できる可能性があります。
体に負担のかからない治療法を選択するには、時間が勝負なのです。
歯の根っこにまでひびが到達した時の治療法
歯の根っこにまでひびが達してしまった場合の治療法は、抜歯しかありません。
先程までの状態だと、まだ接着で修復できますが、根の部分まで到達すると菌の通り道ができてしまいます。
そのため、接着してもトラブルの解決にならないのです。
とはいえ、抜歯は避けたいと思う患者様が多いのも事実です。
歯の状態によりますが、抜歯しない治療法も歯科クリニックでは用意しています。
万能の方法ではありませんが、抜歯したくないという希望がある際は相談してみてください。
治療法が選択できるかどうかは、受診時の状態に左右されますから、後回しせずに歯科クリニックに行きましょう。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・エナメル質にひびがある時の治療法はなく、基本的に経過観察のみ
・象牙質までひびがある時はレジンで接着するだけでなく、被せ物をすることがある
・歯の根っこまでひびが到達した時は、抜歯するしかなくなる
・体に負担の少ない治療をするには、早期の受診が必要不可欠である
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。