虫歯トラブルを痛みで自覚した時、どの歯に痛みがあるのか、患者様は受診前に必ず確認してきます。
ですが、実際にトラブルが起こっている歯と痛みを感じている歯が違うことがあるのです。
これは、関連痛の影響によるものです。
ここでは、歯痛と勘違いしやすい関連痛についてご説明したいと思います。
歯痛の場所を特定しにくい関連痛とは?
患者様の中には、治療が必要な歯でない場所に痛みがあると訴えることがあります。
これは、一般的な歯痛でなく、関連痛と呼ばれる痛みの場所を錯覚している状態になります。
そもそも歯痛は、三叉神経という脳神経によって脳に伝達されます。
三叉神経は顔面の感覚を支配しており、脳から3本に枝分かれした神経によって成り立っています。
ですが、脳に届く3本の神経は、途中で1本にまとまってしまいます。
そのため、脳に近い部分で痛みを感じた場合は、どこの神経から痛みが伝達されているのか判断しにくくなってしまうのです。
特に、奥歯は一番脳に近い部分にありますから、勘違いしやすいと言っても過言ではありません。
関連痛になると、痛みを感じている場所を自分で把握することが困難になりますから、歯科クリニックで特定した痛みの原因と違うことはよくあることなのです。
歯痛の関連痛でよくある事例
歯痛があっても関連痛が疑われる場合、多くの患者様は隣の歯や上下の歯を間違えてしまいます。
先程も述べた通り、奥歯に問題がある場合は痛みの箇所が自覚しにくい状態になっていますから、トラブルのない歯に何かあると勘違いしてしまうのです。
とはいえ、どの歯でも関連痛が起こる訳ではありません。
関連痛のきっかけとなる三叉神経は左右別々にありますので、上下の歯で錯覚することがあっても、左右の歯で錯覚が起こることはありません。
よって、左右の歯に痛みがある場合は、関連痛でなく、歯自体にトラブルが生じていると考えましょう。
歯痛の関連痛が起こりやすい症状
歯痛による関連痛が起こりやすいのは、大きな虫歯による痛みや知覚過敏の症状がある患者様になります。
症状の進行が進んだ虫歯や知覚過敏は、歯へのダメージが大きく、他の症状よりも痛みを感じやすいです。
歯科クリニックを受診した際に、歯痛のある歯を発見できなくても問題ありません。
とにかく痛みを感じていることを伝えておけば、後は歯科クリニックで原因の歯を特定しますのでご安心下さい。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯痛の場所を特定しにくい関連痛は、脳に近い部分に痛みを感じた場合に起こる
・関連痛がある場合は、上下の歯や隣の歯に痛みがあると勘違いしやすい
・三叉神経は左右別々なため、左右の歯で痛みを錯覚することはない
・関連痛は、大きな虫歯による痛みや知覚過敏で起こりやすい
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。