母乳と粉ミルクは虫歯が発生する原因になるの?

離乳食が始まるまで、赤ちゃんの食事は母乳や粉ミルクがメインになります。

母乳や粉ミルクには、赤ちゃんの成長に欠かせない栄養がたくさん含まれていますが、果たしてその中に、虫歯になるようなものは入っているのでしょうか?

赤ちゃんの食事が虫歯に関係するのか、解説しましょう。

母乳と粉ミルクの違い

母乳と粉ミルクの役割は、赤ちゃんの成長を促すことにあります。

ですが、お母さんの体で作られているものと人工的なものには、多少ですが違いがあります。

母乳は、お母さんの生きた細胞から作られており、栄養だけでなく、免疫成分も一緒に含まれています。

特に産後に出る初乳には、赤ちゃんを感染症から守る働きがありますから、歯だけでなく体全体を守ってくれる役割があるのです。

出産後に母乳を飲ませようとするのには、大きな意味があると言えます。

粉ミルクの場合は、牛乳が主原料になりますが、できるだけ母乳に近い形になるように各企業で努力されています。

実際に含まれている成分を比べてみると、母乳に近い形になっていますから、安心して飲ませることができます。

母乳や粉ミルクを飲むと虫歯になる?

母乳や粉ミルクには、甘いというイメージがあります。

甘さがあるということは、虫歯菌が好みやすい成分が多く含まれていると思ってしまうはずです。

確かに、両者には糖分が含まれていますので、歯が生えてきた時に虫歯にならないと言い切れませんが、その可能性は低いです。

注意すべきは、離乳食が始まるタイミングです。

離乳食が始まると、口の中には食事での汚れと母乳等の糖分が溜まることになります。

親御さんが寝る前にきちんと歯のケアをしてあげなければ、虫歯が発生するリスクを高めてしまうのです。

虫歯菌は大人から移ると言われますが、赤ちゃんの頃のケア不足が原因でなってしまうことも忘れないでおきましょう。

母乳と口腔の健康に関するデータ

少し古いデータになりますが、1930~1940年代における、母乳と口腔の健康に関するデータが存在します。

こちらは母乳だけで育てられ、他の形態の栄養素を摂取しなかったグループの子どもに関するものです。

このような子どもは、3歳になるまでの虫歯の発生率が極めて低く、わずか0.5~1.2%しかありませんでした。

またこちらの研究によると、母乳は牛乳のように虫歯のpHを低下させず、エナメル質を脱灰しないことも示されています。

一方、発酵性炭水化物(調理デンプン・果糖・乳糖など)と母乳の存在下では、細菌の産生性能(歯を溶かす力)の増加が見られます。

そのため、虫歯のリスクも増加すると報告されています。

こちらのデータからも、母乳単体では虫歯のリスクが低く、他の食事と混合したときに虫歯になりやすいことがわかります。

哺乳瓶虫歯について

乳歯が生え始めてから2歳頃までに発症した虫歯のほとんどは、“哺乳瓶虫歯(ボトルカリエス)”が原因と言われています。

哺乳瓶虫歯とは、赤ちゃんが1歳半を過ぎても寝る前に甘い飲み物を哺乳瓶で飲み、歯磨きをせずに寝ることで、上の前歯が虫歯になる状態をいいます。

こちらの習慣は、ミルクや糖分が長時間歯に触れることにつながるため、虫歯を発症しやすくなるというものです。

また哺乳瓶ではなく母乳であっても、授乳のまま寝かしつけをしたり、長時間くわえていたりする場合は同じく哺乳瓶虫歯になります。

ちなみに哺乳瓶虫歯の特徴は、前歯にできることのほか、全体に広がりやすいことも挙げられます。

歯全体を溶かし裏側の神経に近いところに広がるなど、重度にまで進行する可能性が高いため、注意が必要です。

哺乳瓶虫歯を放置すると、歯が少しずつ欠けていき、最終的には神経が死滅します。

母乳、粉ミルクを飲みつつ離乳食を始める時の対処法

母乳や粉ミルクを卒業するタイミングは、子どもの状況によります。

しかし、卒乳ができていないタイミングで離乳食が始まり、虫歯ができやすい環境になってしまうと、虫歯リスクが高いまま成長することになります。

この状況は、乳歯から永久歯に生え変わったとしても、リセットされないのです。

上手くタイミングが掴めなかった時は、歯科クリニックにご相談下さい。

小さいうちから可能な虫歯予防やケア方法をお伝えしますので、虫歯菌のいない環境作りのお手伝いをさせて下さい。

離乳食の与え方にも注意が必要

赤ちゃんの虫歯を予防するためには、離乳食の与え方についても注意が必要です。

まず、親御さんは離乳食を食べ与える際、親子で同じ食器を使用してはいけません。

こちらは虫歯のリスクを高める行動の一つだからです。

特に同じ箸を使うことで、大人の口腔内に存在する細菌が赤ちゃんの口内に感染する可能性があります。

赤ちゃんの健康を守るには、専用の清潔な食器を使用することが大切です。

また、離乳食以外に少し噛み応えのあるものを食べ与えるケースもありますが、このとき親御さんが噛んでから食べ与えるのはNGです。

大人が噛んだものを赤ちゃんに与えると、食器を共有したときと同様に、虫歯菌が感染するリスクが高まります。

虫歯菌は赤ちゃんの口腔内に存在しないため、感染を避けるためには直接噛んだり、口移しで与えたりすることは避けるべきです。

この記事のおさらい

今回の記事のポイントは以下になります。

・母乳と粉ミルクは、人間の体から生成されたか、牛乳を中心に人工的に作られたかの違い

・成分上の違いは少ないが、含まれている糖分に虫歯リスクが潜んでいる

・一番危ない時期は、卒乳できず、離乳食が始まった時

・虫歯リスクが高い影響は大人になっても残るので、早期のケアでリスク対策をしよう

以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう。

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