歯周病を発症すると、炎症や出血などにより、口内環境が悪化します。
こちらがさらに進行すると、最悪の場合歯が抜け落ちることもあります。
また、歯周病は口内の症状が出るだけでなく、さまざまな全身疾患と関連性が高いことでも有名です。
ここからは、歯周病とメタボリックシンドロームの関係について解説します。
メタボリックシンドロームとは?
そもそもメタボリックシンドロームとは、内臓肥満や高血圧、脂質異常、高血圧などが合わさった状態のことをいいます。
糖尿病をはじめとする生活習慣病の前段階の状態を示すもので、一定以上の腹囲があることが、内蔵肥満の指標であり、メタボリックシンドロームの必須項目となっています。
また、これに加えて、血圧、空腹時血糖値、脂質の基準のうちいずれか2つ以上が当てはまると、メタボリックシンドロームに該当します。
メタボリックシンドロームの主な原因
メタボリックシンドロームを発症する主な原因としては、以下のことが挙げられます。
・運動不足
・偏った食生活
・暴飲暴食
・不規則な生活 など
近年は、車社会やデスクワークなどの影響により、運動不足になる方も増えています。
運動が不足すると、当然肥満のリスクは高くなりますし、メタボリックシンドロームも発症しやすくなります。
また偏った食生活なども、内臓脂肪を蓄積する原因となり、メタボリックシンドロームを引き起こすことがあります。
メタボリックシンドロームと歯周病の関係
メタボリックシンドロームの方は、内臓脂肪が多く、血管の中も脂肪が蓄積し、血流が悪くなっています。
また、血流が悪いと、血液がドロドロになり、栄養や酸素を全身に運ぶ能力が低下します。
すると、免疫力も必然的に低下し、歯茎の血流も悪化して、歯周病を発症しやすい状態になってしまいます。
ちなみに、歯周病を患っている方は、病原菌が血流に乗って心臓や全身に回るため、重篤な病気につながりやすくなったり、逆にメタボリックシンドロームの進行を早めてしまったりすることもあります。
つまり、歯周病とメタボリックシンドロームは、相互に影響を及ぼす病気だということです。
よく噛めなくなることも発症の原因
歯周病を患っている方はよく噛めなくなることがあり、こちらもメタボリックシンドロームを発症する原因です。
歯周病を発症して歯を失うと、咀嚼能力が低下します。
すると食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうことから、満腹中枢が刺激されず、食事量が増えやすくなります。
こちらは内臓脂肪の増加や高血圧、脂質異常といったメタボリックシンドロームの条件を満たす原因になります。
逆に歯がしっかり残っていて、きちんと咀嚼ができる方であれば、食べ物をよく噛むことで満腹中枢が刺激されます。
このような方は、必要以上に食べてしまう心配が少なく、メタボリックシンドロームも予防しやすいです。
成分で見る歯周病とメタボリックシンドロームの関係
歯周病の原因菌には、LPSという毒素からつくり出されるTNF-αというものがありますが、こちらは脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、メタボリックシンドロームの一因である血糖値の上昇につながります。
また、血糖値が上昇すると、糖尿病をはじめとするさまざまな疾患を引き起こしやすくなりますが、こちらの糖尿病も、歯周病と関係性の深い疾患です。
糖尿病の方は、唾液の分泌量が減少しやすく、唾液中の糖分の濃度も高いため、プラークの付着、細菌の増殖が加速し、歯周病が進行すると考えられています。
糖尿病と歯周病の関係
先ほども少し触れましたが、歯周病の方はメタボリックシンドロームだけでなく、糖尿病のリスクも高くなります。
糖尿病の方は免疫力が弱く、唾液の分泌量も少ないことから、細菌が繁殖しやすく、歯周病にかかりやすいです。
また血糖値のコントロールは、糖尿病の方にとって非常に重要ですが、歯周病菌の内毒素が血糖値の上昇を推し進めていることがわかっています。
つまり糖尿病が歯周病につながるだけでなく、歯周病が糖尿病を悪化させる場合もあるということです。
実際歯周病を治療し、口腔内の環境を整えることで、血糖値の改善が見られたという報告は数多くあります。
メタボリックドミノについて
メタボリックシンドロームが原因で、次々と疾病を引き起こしてしまうことをメタボリックドミノといいます。
最初のドミノは食べすぎや飲みすぎ、運動不足や寝不足、ストレスなどの生活習慣の乱れです。
生活習慣の乱れから余分な脂肪が蓄積され、肥満になります。
さらに進行すると、血液中に分解物である脂肪酸が増加し、高脂血症を発症しやすくなります。
また多量の脂肪酸は全身を巡って筋肉にも悪影響を及ぼし、インスリンが作用しにくい状態をつくり出します。
すると血糖値が上昇し、インスリンが交感神経を亢進させることで、高血圧にもつながります。
このようなインスリン抵抗性を一度引き起こすと、ドミノのように次々と病気を引き起こします。
最終的には失明や下肢切断、脳卒中や心不全のような最終段階にまで達します。
まとめ
ここまで、歯周病とメタボリックシンドロームの関係について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
歯周病とメタボリックシンドロームは、相互に影響を及ぼす病気である上に、単体でもリスクが大きいです。
場合によっては、命の危険が及ぶ全身疾患にもつながるため、デンタルケアや生活習慣の改善は必須だと言えます。
患者様には、治療内容をアニメーション動画で分かりやすく説明し、納得頂ける治療をさせて頂きます。